学生時代は、能力を測る物差しがほぼ一つで、それが学力。
いわば偏差値であり、模範解答がある世界だ。正解の数が
多ければ多いほど、テストの点数が高くなり、上のクラス
に行けるし、レベルの高い学校にも入れる。もちろん
スポーツなどの特技も評価の対象にはなるが、基本は学力
だろう。なぜかといえば、学生だからだ。これが社会人に
なると、能力を測る物差しが増え、何より模範解答となる
ものがない。偏差値のようなわかりやすい基準がなくなる分、
コミュニケーション能力が最も問われる世界となる。
単に仕事ができる、だけではダメで、時間のマネジメント
や会話力、表現力、性格など、問われるのは総合力だ。
「周りのレベルが低すぎて、自分の能力が思うように
発揮できない。もっと上のクラスの会社に行きたい」と
言う方がいて、転職活動をされているが、書類選考で
落ちている。今いる会社は、周りが皆バカに見えて、
話す気にもならないと言うが、それをすればするほど、
社会人としての総合力が、目に見えて下がっていく事に
気がつかない。でも、大人になればなるほど、それを誰
も注意してくれなくなるので、裸の王様に拍車がかかる。
更に職場で浮いた存在となり、転職を切望するものの、
うまくいかない。こうなると、悪循環のエンドレスだ。
学生時代に優秀だった人ほど、プライドも高いので、
これに陥りやすい。ここを抜け出すには、自分で気が
ついて改めていくしかないのだが、冷徹な眼差しを持つ
って、一番勇気がいるし、一番見たくない自分との対面
でもある。キーワードは「謙虚」さだろうか。相手は鏡
であり、今の私に、大切な事を教えてくれている。
気づけよ、自分。