年老いた男が一人、ベッドで最期の時を迎えていた。
ふと目を覚ますと、大勢の人がベッドを取り囲んで
いるのが見えた。
どの顔も愛情にあふれていたが、どこか悲しげだった。
男は戸惑いつつも、弱々しく微笑んで、消え入るような
声で言った。
「君達は子供の頃に、遊んでくれた仲間だろう?
お別れを言いに来てくれたのかな。本当にうれしいよ」
すると、一番背の高い人物が現れて、男の手を優しく
握りながら、こう答えた。
「そう、私達はあなたの親友、一番古い親友です。
でも、ずっと昔に、あなたは私達を見捨てた。
私達は果たされなかった、青春時代の約束です。
実現しなかった希望です。
あなたが心の底から望んだのに、結局は一度も、
追いかけなかった夢であり、計画です。
私達は、磨かれる事のなかった個性的な素質、
発見される事のなかった、特別な才能です。
古い友よ、私達はあなたを、慰めに来たのでは
ありません。あなたと共に、死ぬために来たのです」