私がSan Diegoにいた時、同じ語学学校に通う男の子から、
「僕は高校生の頃、薬物中毒で、きっかけは実の兄から
でした」というショッキングな話を聞いた。彼のルックス
からは、まるで想像できない。
アルコール依存症のご家族に、苦しんでいるクライアント
の方もいる。日本では自動販売機で、お酒が売っている国
なので、断ち切る事がより困難との事。
この読み応えのあるインタビューに登場する、国立精神・
神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部長・
松本俊彦氏曰く、『依存症の患者って、実は「人に依存
しない病」なんです。人は誰しも、何かに頼って生きています。
依存しない人なんていない。頼るのが家族、仕事、肩書き
という人もいるかもしれない。他の人に頼る事だってある
でしょう。彼らはそれを、クスリとかアルコールだけで
解決しようとする。どこかで社会と繋がりを持つ事が、
回復の第一歩です。スポーツ選手だって、専属のトレーナー
をつけて体をケアしていますよね。治療プログラムも同じ
です。セルフケアが大事なんです。プログラムを通じて、
少なくともクスリで失ったものを、回復する事はできます。
失敗も再発も織り込み済みです。健康な依存先を少しずつ、
増やす事で徐々に、コントロールする術を身につけていくんです。
薬物依存症の患者も家族も支援者も、決して一人ではない。
もっともっと人を頼っていいのだ、と強調したいと思います」
観音様のエネルギーというか、とっても慈愛を感じる人であり、
こういう人だからこそ、患者さん達も心開くのだろう。
女神のような“男神”で、夜回り先生に通じるところがある。
覚醒剤やアルコール依存症の患者さんを支える仕事って、
プロ中のプロの上に、愛がなくちゃ絶対にできないよね。
依存=×ではない。「人に依存しない病」は、実は最も
恐ろしい病なのだ。支えて、支えられて、迷惑をかけて、
迷惑をかけられて、助けて、助けられて・・・これが、
人が生きる姿に他ならない。小説を一冊、読んだ気分だ。
「ペットボトルの水を見るだけで、クスリを思い出す
覚醒剤依存症患者の日常と治療 薬物依存症は治らない。
しかし、回復はできる!」
http://www.buzzfeed.com/satoruishido/kakuseizai-interview#.razXOlxEd