横須賀でふと見つけたSax奏者は、どこか物憂げな表情で、私に視線を
交わしてきた。Saxを見る度に思い出すのが、プロミュージシャンのSさんだ。
Sさんは若い頃からずっとN.Yに住んでいて、日本とN.Yを行ったり来たり
していたが、歳を重ねる毎に、日本にいる時間が自然と長くなっていた。
彼のCDが発売された時、サイン入りでプレゼントしてくれて、「日本に長く
いると、牙を抜かれる感じで、ふと怖くなる時があるんだよね」と言っていた
のが印象的だ。
身長180cmでガタがいいにもかかわらず、N.Yのトイレで男性に襲われ
そうになったり、船上パーティーでの仕事の時、実はホモセクシャルの
パーティーで、ずっとお尻を狙われていたとか、アメリカでの笑えるエピ
ソードには事欠かない。
Sさんに最後に会った時、「俺達はいつまでもバディーだから」とウィンク
してくれた。彼は今頃、どこでプレイしているのだろう? 絶対、元気で
Saxを吹いてるに決まってるよね。
私達はバディーだから、またいつかどこかできっと会える。キッパリ( ̄^ ̄)
未空家の皆で一生、Sさんを応援してるからね。ベンチでフリーズしている
Sax奏者に、心の中でエールを送って、花火大会の横須賀を後にした。