總持寺に修行僧が入門する時には、数時間も外で待たされ、その間は
雨が降ろうが、雪が降ろうが、雷が落ちようが、無言を貫いて、ずっと立っ
て待っていなければならないそうな。
昔は真夏の炎天下でも、7~8時間立って待ち続け、その間はトイレも水分
補給もなかったんだとか。最近では3~4時間に短縮されているらしいが、
それでも必要最低限の身の回りの品の入った行李(こうり:竹や柳、籐など
を編んで作られた蓋付きの箱)を背負って、ひたすら立ち続ける。
これが修行の第一歩で、これに音を上げて引き返せば、それで入門は打ち
止めとなるという厳しい世界。これが何百年も続く入門における伝統なのだ。
總持寺の朝は、4時の「振鈴(しんれい:朝起きる時間を知らせるために、
鐘を持った修行僧が寺中を走り回る事)」に始まり、洗面・暁天坐禅(ぎょう
てんざぜん:早朝の座禅)と続く。毎朝午前5時頃から約1時間、大祖堂で
朝のお勤め。畳などの拭き掃除は、踊るように舞うように行われる。
曹洞宗では一に座禅、二に座禅、三四がなくて、五に座禅というぐらい、
朝から何度も座禅を組み、厳しい修行は、人によっては1~2年続く。
現在の總持寺では、長い人では8年以上も修行を続けている修行僧が
いるんだとか。精進料理を頂き、お経を唱え、座禅を組んで、様々な
戒律の中で、質素な生活を送る。
いくら自分が決めた道とはいえ、頭が下がるなぁ。根性のない超ナマケ
モノの私なら、厳しい修業なんて一日ももたないだろう。
毎日、午前と午後の2回、百間廊下の拭き掃除を行う。ピッカピッカに
光り輝く廊下は、修行僧の汗と涙の賜物だ。思わず見とれてしまった。
ただ有り難く、自然と合掌。