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あまりに神々しい「祈りの手」

2011 年 10 月 25 日

「祈りの手」という有名な絵があるのをご存知でしょうか。

アルブレヒト・デューラー(1471~1528年)というルネッサンス時代の
優れたドイツの画家が描いた作品です。

その作品にまつわる感動的な話です。

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今から500年ほど前、ドイツのニュールンベルグの町に、
デューラーとハンスという若者がいました。

2人とも貧しい子だくさんの貧しい家に生まれ、
小さな時から画家になりたいという夢を持っていました。 

2人は版画を彫る親方の元で、見習いとして働いていましたが、
毎日忙しいだけで、絵の勉強ができません。

思い切ってそこを辞めて、絵の勉強に専念したいと思いましたが、
絵の具やキャンバスを買うお金もままならないほど貧しく、
働かずに勉強できるほど、余裕はありませんでした。

ある時、ハンスがデューラーに一つの事を提案しました。

「このままでは2人とも、画家になる夢を捨てなくてはいけない。

でも、僕にいい考えがある。

2人が一緒に勉強はできないので、1人ずつ交代で勉強しよう。
1人が働いて、もう1人のためにお金を稼いで助けるんだ。

そして、1人の勉強が終わったら、今度は別の1人が勉強できるから、
もう1人は働いてそれを助けるのだ」

どちらが先に勉強するのか、2人は譲り合いました。

「デューラー、君が先に勉強してほしい。君の方が僕より絵がうまいから、
きっと早く勉強が済むと思う」

ハンスの言葉に感謝してデューラーは、
イタリアのベネチアへ絵の勉強に行きました。

ハンスはお金がたくさん稼げる鉄工所に勤める事になりました。

デューラーは「1日でも早く勉強を終えて、ハンスと代わりたい」
とハンスの事を思い、寝る時間も惜しんで絵の勉強をしました。

一方残ったハンスは、デューラーのために早朝から深夜まで、
重いハンマーを振り上げ、
今にも倒れそうになるまで働き、お金を送りました。

1年、2年と年月は過ぎていきましたが、
デューラーの勉強は終わりません。

勉強すればするほど、深く勉強したくなるからです。

ハンスは「自分が良いと思うまで、しっかり勉強するように」
との手紙を書き、デューラーにお金を送り続けました。

数年後、ようやくデューラーは、
ベネチアでも高い評判を受けるようになったので、
故郷に戻る事にしました。

「よし、今度はハンスの番だ」と急いで
デューラーはニュールンベルクの町へ帰りました。

2人は再会を手を取り合って喜びました。

ところがデューラーは、ハンスの手を握りしめたまま
呆然としました。

そして、泣きました。

何とハンスの両手は、長い間の力仕事でゴツゴツになり、
絵筆が持てない手に変わってしまっていたのでした。

「僕のために、こんな手になってしまって」と言って、
デューラーはただ頭を垂れるばかりでした。

自分の成功が、友達の犠牲の上に成り立っていた。

彼の夢を奪い、僕の夢が叶った。

その罪悪感に襲われる日々を過ごしていたデューラーは、

「何か僕にできる事はないだろうか」
「少しでも彼に償いをしたい」

という気持ちになり、もう一度、ハンスの家を訪ねました。

ドアを小さくノックしましたが、応答はありません。
でも、確かに人がいる気配がします。

小さな声も、部屋の中から聞こえてきます。

デューラーは恐る恐るドアを開け、部屋に入りました。

すると、ハンスが静かに祈りを捧げている姿が目に入りました。

ハンスは歪んでしまった手を合わせ、
一心に祈っていたのです。

「デューラーは私の事で傷つき、苦しんでいます。
自分を責めています。
神様、どうかデューラーがこれ以上、苦しむ事がありませんように。
 
そして、私が果たせなかった夢も、彼が叶えてくれますように。
あなたのお守りと祝福が、いつもデューラーと共にありますように」

デューラーはその言葉を聞いて、心打たれました。

デューラーの成功を妬み恨んでいるに違いないと思っていたハンスが、
妬み恨むどころか、自分の事より、
デューラーの事を一生懸命、祈ってくれていたのです。

ハンスの祈りを静かに聞いていたデューラーは、
祈りが終わった後、彼に懇願しました。

「お願いだ。君の手を描かせてくれ。
君のこの手で、僕は生かされたんだ。
君のこの手の祈りで、僕は生かされているんだ!」

こうして、1508年、友情と感謝の心がこもった「祈りの手」が生まれました。

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ハンスは、デューラーのために働き、お金を送り続け、
結果的に、彼自身の絵描きになりたいという夢は実現できませんでした。

そういう人生を世間では、成功した人生とは評価しないかもしれません。

しかし、価値ある人生でした。

彼のおかげでデューラーは、世に出て認められ、多くの素晴らしい作品を
世に残す事ができました。

彼がいなければ、デューラーの作品は生まれなかったかもしれません。

少なくとも「祈りの手」という作品は・・・

そして、彼自身が自分のしてきた事に納得しています。

誰も評価してくれなくとも、価値ある人生だったのです。

おそらく一人の成功者の周りには、デューラーのように陰ながら
その人を支え、応援してくれている人がいます。

その人は寛い心を持ち、人の事を考えて行動します。

時に自分が傷ついても、人を愛する事を選びます。

そういう行いの一つ一つは、価値あるものだと私は思うのです。

/中井 俊己(作家、教育コンサルタント)
 メールマガジン「心の糧・きっと良くなる!いい言葉」より抜粋、引用
 http://www.t-nakai.com/

アルブレヒト・デューラー「祈りの手」
(オーストリア・ウィーンのアルベルティーナ美術館所蔵)
http://art.pro.tok2.com/D/Durer/vv032.htm

デューラーの他の作品
http://art.pro.tok2.com/D/Durer/Durer.htm

昨日、サンタさんからのプレゼントを受け取れました。本当に本当にありがとうございます。電車内の広告で、パイジェンヌのチョコ味の広告を見ていたので、とってもとってもうれしかったですぅ♪ またしても頂き過ぎです。何度も言うようですが、私から何もお返しできてないんですよ。それだけがいつも心苦しくて(号泣)。仏教関係の雑誌は読み応えありますね。観音様や空海の本を読んでるところだったので、すっごくうれしかったです。私は言霊の力を強く信じ、その言葉に最大のエネルギーを吹き込みたいと、真剣に思うようになりました。言葉も祈りなんだと。また、私からのMailやポストカードを大事に取っておいてるクライアントの方もいらっしゃって、書く文字にもエネルギーを込めたいと思うようになりました。もちろんポストカードそのものにも。私から発する全てのものに、神聖な力が宿るように、一生かけて、自分を本気で磨きあげたいと思います。祈りの瞑想と遠隔を続けさせて頂きますね。あなたの存在そのもの全てに、感謝しています。私と出会って下さって、心からありがとうございます。これからも末長くよろしくお願いしますね。

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