咳地獄でのた打ち回り、ビジネスホテルの部屋で死んでいると(笑)、
コンコンとドアをノックする音がする。えっ、誰だろ?と思ったら、隣の
部屋にいた出張の達人Kさんだった。私は彼女から毎回、様々な事
を教えてもらっている。
「咳、大丈夫? これね、私が飲んでるビタミン剤で、全ての栄養が
入ってるから、良かったらどうぞ。私は専用のシェーカーを持って来て
るんだけど、最初はお湯で溶いて、200ccぐらいかな。コップ一杯分ね。
それじゃーね」「あ、ありがとうございます」
Kさんの大きなスーツケースは、ありとあらゆる薬から便利グッズまで、
何でも入っているドラえもんのポケットだ。そのため、いつもみんなの
お母さん役でもある。
私がヤク漬けだと話すと、「そういう時は病院に行ったら、明日から出張で、
どうしても治さないとならないんですって言って、抗生物質の点滴をして
もらうの。そうすると、咳も一発で治るから」と教えてくれた。そっか、点滴
という手もあったのか。病気の事なら、大病を克服したKさんに聞けーっ(笑)。
そして、間もなくコンコンと再度、ノックの音がする。「何度もごめんなさいね。
これ、入浴剤ですっごく体が温まるから、良かったら使ってみてね。それじゃ、
お大事にね」とまたもやKさんだった。
私はただただ、「ありがとうございます。助かります。何から何まで、本当に
すみません。ありがとうございます」をむせながら繰り返し、頭を下げる。
私を助けてくれる人は、全て“神の化身”だと思っている。ひたすら有り難い。
Kさんに心から感謝だ。私からは何もお返しできず、すみません。これから
もお世話になります。出張の達人Kさん、どうもありがとうございました!