大師堂前の小門をくぐると、目の前に朱塗り唐作りの鐘楼が、断崖絶壁
に建っている。この鐘は「時の鐘」として名高く、元禄初年より時刻を近郷、
近海に報じていた。近年はTV、ラジオを通じて「除夜の鐘」として、広く人々
に親しまれ、尾道の名物の一つにもなっている。
この鐘の特徴として、鐘の上部に108個のイボ(乳)がなく、梵字百字の真言
と五智如来の種子が浮彫りになっていて、この地方では珍しい曼荼羅の鐘
なんだとか。千光寺鐘楼「驚音楼の鐘」は、1996年(平成8年)7月1日、
環境庁の選定した「日本の音風景百選」の一つに選ばれた。特にこの付近
の情景は、文豪・志賀直哉氏の小説「暗夜行路」にも描写されている。
PM6:00、住職さんが鐘を鳴らしたのだが、「もし、よろしければ、鐘を
ついていきませんか? せっかくですからどうぞ」と言って下さったのだ。
「えっ、本当ですか? うわーっ、本当にやっていいんですか?」「どうぞどうぞ」
とゆーワケで、親切なご住職さんのお言葉に甘えて、鐘をつかせて頂いた。
生まれて初めて千光寺に来て、いきなり尾道名物の一つ、由緒ある鐘を鳴ら
したのは私ぐらいだろう(笑)。そうか、天はこの鐘をつかせたかったのか。
おかげで、この日に起きた全てのハプニングに感謝する事ができた。改めて、
心あるご住職さん、お導き頂いた弘法大師、本当にありがとうございました!