翌朝、TさんからMailが届いた。
“「五木寛之 21世紀 仏教への旅」は、つくづく必然と思わされて見て
いました。「ブッダ最期の旅・インド」はアーナンダの師を思う優しい心が、
時空を超えて伝わり、「ああ、私達は皆繋がっているんだ」と登場した僧
のお話からも唸らされました。
昔、この時もジタバタしておりまして、ヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」
を読み、ブッダの人間らしい生き方に驚きました。中でも、渡し守のヴァズ
デーヴァがシッダールタに語る教えは、あまりにもシンプルで圧巻でした。
その頃からハローワークの帰路、隅田川に回るようになりました。本当
に川は、様々な事を教えてくれました。孤独にボーッと川を見ていると、
船の人が手を振ってくれて、ただその行為に「諦めるな!」と思い直し
ましたり。
人は手を振ってくれただけで、人を救うといいますか、そういう活性の力
を与えてもらえるのですから、スゴイ! ヴァズデーヴァが「渡し守は、
向こう岸に結婚の一行を送り、帰路葬送の一行を乗せて来る事がある。
同じ舟で同じ川を渡るのに、喜びと悲しみという真反対の心を乗せて
いる」と説きます。
心打つブッダの出会いのクライマックスに感じました。本当に多くの尊い
真理を授けて頂き、後は私の実行と気づきだけです。御礼にも値しませ
んが、感謝をこめて、私の好きなタゴールの詩を贈らせて頂きます”
TさんからのMailは、深い気づきと学びがある。私の方こそ深謝しなけれ
ばならない。渡し守のヴァズデーヴァのような人は、今でもインドにいる
のだろうか? もしいるのだとしたら、そんな船にいつか乗ってみたい。
♪夜になると、人影もまばらになる隅田川は、花火の時以外は、至って静かな場所だ。夜の川面には、何かが潜んでいるようで、ジッと見つめていると、暗闇からも覗かれていそうな錯覚を覚える。いや、本当に妖怪がこっちを睨んでいるのかも・・・