2006 年 6 月 8 日 のアーカイブ

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全人カウンセラー

2006 年 6 月 8 日

私がT学院で心理療法を学んでいた時、恩師K先生は生徒向けに発行されてい
る学内誌のコラムを担当していた。私が心惹かれた記事は、今でも大切に取って
ある。その中で「最近、注目されている新しい心理学がある。心と体だけでなく、
スピリチュアル(霊的側面)の次元まで包括し、真の意味での全人的存在を扱う
もので、トランスパーソナル心理学という」。

今はかなり有名になったが、当時は余り知られていなかったのでは? K先生
の肩書きは全人カウンセラー。「そんな風に名乗っているのは、おそらく日本で
私ぐらいなもんでしょう」と笑っていたが、最初からそんな呼び方をしていた訳
ではない。キャリアを積み、試行錯誤を繰り返しながら、日々セッションを重ね、
最後に辿り着いた先が、この全人カウンセラーだ。あ~、私の道のりは遠いなぁ。

最後の授業で初めてこの肩書きを聞いた時は、尊敬と憧れの眼差しでK先生
を見つめていたものだ。K先生のコラムは、「トランスパーソナル心理学は全人
的であるだけでなく、宇宙的で包括的な人間理解をして、現代人の生き方を
変革する期待が持てる」と結ばれていた。ますます興味をもった私は、「トラ
ンスパーソナル心理学」を調べてみる事にした。

フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」によれば、

トランスパーソナル心理学とは、人間性心理学における自己超越の概念を更に
発展させたとされる。人間の究極的な目的とは、自己を越えた何ものかに統合
されると考え、そのための精神統合の手法を開発した。

臨床では一定の効果が認められるが、「自己を超えた何ものか」という時点で
既に他者には確認不能であり、再現性に乏しい上に宗教との違いが解りにくく、
そのため宗教や神秘学そのものであるとの批判が強い。

支持者からは、トランスパーソナルな視点を取り入れた臨床心理士も存在する
点において、単なる思想とは一線を画したものであるとされる。現時点では、
人間は万物を語り尽せない事も確かであり、また人間の認知能力には限界が
ある事から、再現可能性、実験再現性、再観測可能性や、臨床試験を中心に
据えた研究発表は非常に少ないが、控えめに捉えれば、発展途上の心理学
の分野であるといえる。

代表的な心理学者としては、イタリア人でフロイトの弟子の1人、サイコシン
セシス(精神統合)のロベルト・アサジオリ、人間性心理学でも知られるアブ
ラハム・マズロー、ホロトロピックブリージングのスタニスラフ・グロフ、古今
東西広大な領域の理論的統合を試みるケン・ウィルバー等が上げられる。
20060608

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