隔月に届けられる無料のニュースレターには、宇宙、古代文明、科学、スピリチ
ュアル分野の情報やエッセイetc.が載っており、アウグスト・クリ博士はブラジル
で200万部を売るベストセラー作家として紹介されていた。
ここで取り上げられているのは、5月に発売される予定の「人間イエスを科学
するキリストの心理分析(サンマーク出版刊)」という本だ。原書はポルトガル
語で書かれており、多い時には毎月9万部も売れる本となったとか。このニュ
ースレターによれば、
「売れている理由はラテンアメリカがカソリックの国だからではない。読者の中
には、教育関係者や経営者等が多く、優れたアドバイスとなっている。また
心理セラピストやヒーラー、医者といった立場の人も多いそうだ。
作者であるクリ博士は、至って科学的な思考をもつ、ハッキリとした無神論者で
ある事が窺える。元々心理学者なので、フロイトやユングを学んできた人であり、
無神論的なスタンスがあり、熱狂的なカソリックでも何でもない。
アウグスト・クリ博士はサンパウロで精神医学の分野で活躍されていた医者で、
現在は“知性のアカデミー”という機関を設け、幅広い分野の人々に知性を最も
効果的に、フルに生かすためのトレーニングやアドバイスを提供している。
ここで右脳開発というイメージが頭に浮かぶのだが、それだけに限られていなく、
トータルに人間の知性を促進するために取り組む機関だ。クリ博士がこのような
本を書くきっかけとなったのは、イエスという人物は存在しなかったという事を
証明するために研究が始まった。キリストは人間の知性で作り上げられた架空
の人物である事を当初、博士は証明したかった。
よってキリストの知性を福音書を基に、1人の人間として心理分析をするという
面白い試みを博士はやってみた。すると驚くべき事に、イエスという人物の謎
めいた人格が浮き彫りになった。キリストは非常に複雑であり、また強い個性
の持ち主である事がわかった。この本には、人生への画期的なヒントがたく
さんあるので、是非お読み頂きたいと思う」
この本にしても「ダヴィンチ・コード」にしても、描きたかったのは要は人間と
してのイエスだ。何も特別な存在ではなく、私達と同じ人の子としてのイエス。
2000年も前に亡くなった人なのに、未だ人気は衰えるどころか、そのカリ
スマ性は加熱する一方のようにも見える。もし、この現代社会にイエスが
生きていたら、24時間365日、パパラッチに追い回されていただろう(笑)
超俗っぽすぎる私は、ふとそんな事を考えながら、太極拳のS先生からもら
った新聞の切り抜きに興味をそそられていた・・・