ジュリオ・カッチーニは、単声マドリガルの曲集「新音楽(Le Nuove Musiche)」
を編み、歌手、ハープ奏者、最初期のオペラ「エウリディーチェ(1600年)」を書き、
オペラ作曲家として大活躍した。また、当時流行ったカストラート(去勢男性歌手)
のための作品も書いたようだ。
この「アヴェ・マリア」については、どの曲集にも含まれない単独の楽曲で、他の
有名な作品としては「アマリリ麗し(声楽)」等がある。1990年代に、カウンター・
テナーという音楽ジャンルを再認識させた歌手スラヴァのデビューアルバムに、
この「アヴェ・マリア」が収録されており、一躍有名になった。
その後、映画「スターリングラード」でも使用されたらしいが、私はこの映画を
見ていない。一体、どんなシーンに使われたのか、ストーリーより気になって
しょーがない。音楽監督のセンスの良さに脱帽だ!
バロック時代には劇的、または抒情的な歌詞の効果的な作曲が求められた。
妖艶で儚い感じのこのメロディは、400年経った殺伐とした現代に、また見直
されつつあるようだ。
カッチーニのサイトをネットサーフィンしながら、改めて400年前に作られた
「アヴェ・マリア」に思いを馳せる。日本は関ヶ原の戦いに明け暮れていた頃か。
何百年にも渡って受け継がれる名曲って凄いなぁ。って、だから名曲なんだけど(笑)。
あれから400年経って、日本は鎖国どころか、一気にグローバル・スタンダード
化し、世界中の名曲をネットでダウンロードできる時代になった。国境を超え、
時代を超え、アジア人の私をこれほど感動させるとは、さすがヨーロピアンの
カッチーニも考えなかっただろう。
私がずっと大ファンであり続ける山下達郎は、「音楽はその時代の音がして
いればいい。美しいメロディーは永遠である」と言っているが、私も同感だ。
そして、今日は復活祭。こんなに遅いイースターも珍しいんだとか。改めて
「アヴェ・マリア」という名曲を残してくれた偉大な作曲家、ジュリオ・カッチ
ーニに心から感謝したい。この深い感動をどうもありがとう!