「アヴェ・マリア」は有名な曲から無名なものまで数多くあるが、秋田の
聖体奉仕会で聴いた「アヴェ・マリア」がずっと忘れられなかった。旅行
の参加者に近々洗礼を受ける人がいて、そのお祝いに有志で聖歌隊
を作り、彼女に歌のプレゼントをしたのだ。とにかく美しい。その静かで
清らかな響きは鳥肌が立ったほど(号泣)。
この感動は音校時代、フランスのガブリエル・フォーレ(1845~1924年)
の「夢のあとに」を聴いた時のそれに似ている。私が学生時代、とても
尊敬していた先生が、フォーレの「夢のあとに」を聴いて、自分の作曲の
才能に見切りをつけたと言わしめたほどの名曲だ。この曲を聴く度、白い
霧が立ち込める湖上を、ゆっくりと小舟が進んで行くイメージが浮かぶ。
カッチーニは、イタリア16世紀末における歌劇運動初期の作曲家で、フィ
レンツェのバルディ伯爵邸に集ったオペラ創始者達カメラータ群の1人。
16世紀のフィレンツェは、イタリアで文化的に最も活気のあふれる1つと
数えられていた。特にメディチ家の統治下であるフィレンツェの宮廷は、
音楽的に他のイタリアのどの宮廷にも引けをとらぬものとなった。ここ
で指導的役割を果たしたのが、ジュリオ・カッチーニだ!