隣町に曹洞宗の禅寺があり、坐禅会と写経会をやっている。元々坐禅
に興味があったので、まずは行ってみる事にした。写経会は30人ぐらい
来るらしいが、坐禅となるとグーンと少なくなるようで、私と未空母、
10歳の男の子とその父親、40代とおぼしき女性の計5人だった。
全員初心者という事で、聖僧から坐禅の基本的動作を教えてもらう。
まずは御堂に坐蒲(ざふ)を取りに行くのだが、この時バラバラに出て
はいけない。入口に一番近い人から順に列を作って行くのだ。坐蒲とは
坐禅用の黒いクッションの事で、大・中・小の3タイプがあり、私は中を
渡された。
座蒲を持つ時は親指、人差し指、中指の3本だけを使い、お寺の名前
が書いてある白い部分を上にして、坐る時は背中側にくるようにする。
自分の位置に立っても、すぐに坐れるワケではない。まず両隣の人へ
の挨拶として、前の壁に向かって合掌し低頭する。これを「隣位問訊
(りんいもんじん)」という。次に、向かいにいる人への挨拶として、
右回りをして合掌し低頭する。これを「対坐問訊(たいざもんじん)」と
いい、これが終わってようやく坐れるのだ。
いよいよ私の苦手な「結跏趺坐(けっかふざ)」に挑戦! 結跏趺坐とは、
右の足を左の太腿の上に深く乗せ、次に左の足を右の太腿の上に乗せ
るポーズだ。「蓮華坐(れんげざ)」ともいうよね。必死にやっているうち
に足が攣ってきたので、あえなく断念。くーーーっ、痛ったぁぁぁぁぁ~。
案の定、左の足を右の太腿の上に深く乗せるだけの「半跏趺坐(はんか
ふざ)」、想定内の結果となる(笑)。
だが、結跏趺坐でも半跏趺坐でも大切なのは、両膝とお尻の3点で上
体を支える事。聖僧は「カメラの三脚を思い出して下さい」と言っていた。
それと坐蒲を自分の体に合わせて調節し、両膝を確実に地につける事。
ところが坐蒲の中タイプの生地が綿で、洋服との相性が悪いと、坐って
いる間にズリズリ落ちてくる。大タイプの坐蒲は、別珍のような生地で
できているので滑りづらいようだ。未空母も中タイプだったので、それ
が気になって気になって、雑念どころではなかったと言うが、あの~
もしもし~、それこそ雑念以外の何ものでもないと思うんですけどぉ(笑)。
足を組んだ後の姿勢は、両足の周りの衣服を整え、背骨をまっすぐ
に伸ばし、お尻を後方に突き出すようにして、腰にきまりをつける。
両肩の力を抜き、腰の骨をまっすぐに伸ばし、首筋には力を入れず、
アゴを引き、アタマで天を突き上げるようにすると、背骨がまっすぐ
になる。
手は、右の手の平を上向きにして組んだ足の上に置き、両手の親指
の先をかすかに接触させる。力を入れて押してはいけないが、決して
離さないようにする。これを「法界定印(ほっかいじょういん)」という。
基本は裸足と言われ、靴下を脱いだのだが、これが想像以上に冷える
冷える。今は練習中なので、まだ暖かい絨毯の部屋にいるが、本当は
御堂の板の間で坐禅を組むので、超ヤワヤワな私は恐れおののいて
いた。まして、今日のニッポンは、“冷凍列島”と呼ばれるほど、超しば
れているんだよぉぉぉぉぉ~(号泣)。
未空の運命や、いかに・・・