数年前の澄み切った青空が続く、気持ちのいい日だった。
朝の身支度をしながらワイドショーを見ていると、青年
実業家が「我々に是非やらせてほしい」と真剣な眼差しで、
熱い思いを語っていた。
いよいよ新しい流れが出てきたかと思った瞬間、TVから“風”
が吹いてきた。それこそがホリエモンの球団買収事件だった。
実際に風がビューンと吹いたワケではない。だが、何とも
言えない心地良い“新風”を、私は感じたのだ。それは
生まれて初めての強烈な体験だった。
この人なら、何かやってくれるはず。保守バリバリの硬直
したプロ野球業界を必ず変えてくれる。全面的に彼を応援
しよう！ 何だかウキウキしながら、仕事に出かけたのを
覚えている。
オン・ザ・エッヂという会社には聞き覚えがあり、友人の
プロバイダーがlivedoorだった。当時の認識はその程度
だったが、ワイドショーはこのIT長者の自宅マンションが
六本木ヒルズにあり、リビングが43畳、家賃が月220万
円という驚くべきバブリーな私生活ぶりを連日、これでも
かっと思うほど紹介してくれる。
えっ、43畳？ 私の部屋の何倍だろう（笑）。ちょっとした
宴会場だよね。年間の家賃だけで2640万？ マンション買え
ちゃうよ。じゃ、1ヶ月の生活費はどれくらいなんだろう？etc.
私もヤジ馬根性丸出しでTVを見ていたので、若者がこぞって
ホリエモンに憧れたのもムリはない。ゴージャスで華やかな
ヒルズ族の代表は、色々な場面でホリエモン語録を残し、
やる事なす事ビッグに見えた。
そして、私が期待していた通り、このニッポンに“新風”を
巻き起こしてくれる、はずだった。
しかし・・・
