山中湖で行われたウポワズ(お断食)研修の際、指導して下さった前田行貴(ぎょうき)
先生に瞑想の話をしたら、「呼吸法と一緒に行う方が、より深い意識になれますよ」と
アドバイスされた。
PM10:00消灯だったが、様々な状況が重なり、眠れなくなっていた私は、4人の相部屋
を抜け出し、外で一人、前田先生の著書「釈尊の断食法~心身を覚醒させるウポワズ
と呼吸法(地湧社〈ぢゆうしゃ〉刊)」を読みふけっていた。この本は素晴らしいので、
機会があったら是非読んでほしいと思う。その中に「丹田(たんでん)呼吸」の実践が
載っていた。
「腹式呼吸の最高の境地に達した呼吸法を“丹田呼吸”という。丹田は下腹部、臍下一寸
(表面から約3.3cmの所)にあり、自律神経が集まっている太陽神経叢(腹空神経叢〈そう〉)
がある。そこに意識を集中して、呼吸を整える丹田呼吸は、全ての臓器の強化に繋がり、
健全なる心身発達のための最高の行法である」
そして更に、
「この丹田呼吸が人生にとって、いかに大事なものかを体得された方が釈尊で、意識的
な丹田呼吸によって心身のバランスを保つ事を、“中道説”の基本とされた。中道は常
に真ん中という意味ではなく、日常生活テクニックの基本的実践方法である。相互に
矛盾対立する2つの対極な立場をふまえつつ、そこから離れ、止揚された自由な立場
(両極が次元の高いところで合一するバランスが取れた状態)の実践である。すなわち
固定的なものではなく、絶えず動的に創造されていくものである」
これを読んだ瞬間、おぉーっ、これこそ奥義だ!と感動して、即やってみようという気
になった(笑)。これも東京から離れてるは、とにかく寝つけないは、お流しをして空
腹だはetc. こんな特殊な状況下が重なったからこそだろう。やりたい時がやれる時!
思えば、こんなにも真剣に呼吸法だけを繰り返し実践した事はない。結果はすぐに出た。
吐息(レーチャカ)の際、とにかく体の緊張感が取れ、深いリラックスに包まれるのだ。
私の体を凧糸で巻かれた贈答用ボンレスハムに例えるなら(笑)、あの白い紐が1本
1本切り離される感じで、恍惚感さえ伴う。気持ちイイ。ふぅぅぅぅぅぅぅ~。パニック障害
もこれで乗り越えられそうな気さえしてきた。この感覚は本当に有り難い。
だんだん自分にパワーが漲り、自信に満ち溢れてくるから不思議だ。どんどんリラックス
して、同時に眠気も襲ってきた。何時頃かはわからないが、防火扉に閉ざされた相部屋に
戻り、2段ベッドに潜り込む。丹田呼吸を繰り返していくうちに、知らぬ間に爆睡していた。
翌朝の目覚めもいい。この感覚は瞑想と同じで、短時間の睡眠でも疲れは取れているのだ。
やはり基本は呼吸に有り、だな。これからは瞑想と丹田呼吸を組み合わせて、次のステ
ージを目指そう。それを実感させられた山中湖での、激しい雨の夜であった。