ルームメイトのJonが考えていた道場の名前とは「水道場」。えっ、すいどうじょう(笑)?
宮本武蔵は「五輪書」水の巻きで、「自分の剣は、水を手本としてきた。水は器に
従い色形を成し、ひとしずくから大海原にもなる。心も体も自在に流れる水に習うの
が肝要だ」と説いている。
そして、300年以上の時を超え、ブルース・リーは弟子達に向け、「心を空にしなさい。
水のように姿形をなくすのです。水をコップに入れるとコップになり、ボトルに水を入れ
るとボトルになる。水に流れる事も、衝突する事もできる。水になるんですよ、友よ」
と言った。多分、そんなところからJonは「水」に対する憧れが強く、「水道場」と名づ
けたかったに違いない。うーむ、気持ちはわかるんだが。が、しかし・・・
「あのねJon、日本人の私が聞くと、空手の道場というよりは“water supply”みたい
な感じがしちゃうんだけど」「えっ、だって“Water Doujyou”だから“水道場”で間違
いないよね。他に水の漢字があるの?」「ううん。Waterは水でO.Kなんだけど」
「そっか、ヘンなのか。Mikuに聞いといて良かったよ」「いや、ヘンじゃないんだよ」
「だったら道場の名前を考えて」「はいぃぃぃぃぃ~?」「やっぱ漢字を使ったカッコイイ
名前がいいなぁ。頼むよ、Miku!」「いや、それは・・・あのぉぉぉ~」「Come on!」
その後、私はすーっかりシカトしてしまったが、まさに直訳VOWと呼ぶのにふさわ
しく、漢字の難しさを思い知らされる出来事だった。
ある日、校内でスイスジャーマンの男の子のワンデイバッグに、デカデカと「浜辺男」
と書いてあるのを発見した(笑)。彼に聞くと、ある日本人の男の子がつけてくれた
と言う。えっ、誰だろう? すると、そこに名づけ親が現れた。サーフィンが趣味の
まだ若い彼は、「だってコイツ、毎日ビーチに行ってるからさ。イイ名前でしょ」と
自慢気だった。スイスジャーマンも隣で親指を立ててうれしそうだ。
そっか、名前の音だけにこだわる必要はないのか。「刃威高」「菜田」「水道場」
「浜辺男」etc. これまた新たなる発見で、漢字の奥深さ、字謎(ズーミー)の
更なる可能性を見る気分だった。
「医古文の宿題で、自分の名前の文字の意味を一字ずつ調べてたら、“ホォ~”
な発見をしたのですよ。ちなみに“未”は象形文字で、木が伸びゆく途中。“空”=
穴+工で、中に何もない様子、則ちこれから何でも入れられる状態。未空さんが
前々から言ってる漢字の音と、言霊の話も思い出して。漢字って奥が深いわぁ~と
思うのでした」と親切なMy医女からこんなMailをもらって、ふとSan Diegoの字謎(ズ
ーミー)事件を思い出していた。いつも貴重な情報をどうもありがとうございます!
そっか、未空の未は発展途上で、空は何でも受け入れられる状態なのか。名は
体を表すという。なかなか成長しない私ではあるが、本当の意味での“何でも
O.K!”の人間になりたいと思う。