ある朝、僧侶と小坊主さんが道を歩いていました。
川のそばに行くと、若い女性が川を渡れず困っていました。
前日降った雨で川が増水し、渡る事ができなかったのです。
それで、僧侶はその女性を抱き上げ、向こう岸まで連れて行ってあげました。
その日の旅が終わり、宿に着いた時、小坊主さんが僧侶に言いました。
「なぜ、あなたはあの川で、女性を抱き上げたのですか?
仏門に入れば女人禁制で、女性とは接触してはいけない規則があるはずです」
すると、僧侶はこう答えました。
「いつまで君は心の中で、女性を抱き続けているのか?
私は川を渡った時に、その女性の事は置いて来たのに・・・」