ある朝早く、1人の男が打ち寄せる波を見ながら海岸を歩いていると、
数え切れないくらいのヒトデが砂浜に打上げられ、日干しになって
死にかけている事に気がついた。
その異常な光景に、しばし茫然としていると、ふと遠くの方で若い
女が1つ1つ、そのヒトデを拾い上げては、海に向かって投げ返して
いる姿が目に入った。
男は、その女の所まで近づいて行き、こう声をかけた。
「そんな事したって、時間のムダじゃないか。こんなにたくさんの
ヒトデがあるのに、そんな事して何の意味があるんだい?」
すると、その女は足元にあったヒトデを1つ拾い上げると、思い
切り海に向かって、投げ返した。
「あのヒトデにとっては、意味があったわ」
そう言って、更に足元にある別のヒトデに手を伸ばした。
/「コーチング・バイブル(東洋経済新報社)」より