国境なき医師団は知っていたが、国境なきクラウン団というNGOがあるのは初耳だった。
1人のスペイン人クラウンが始めて、今は世界中に2000人以上もいるとか。災害や紛争
地域で、親を亡くした子供達の慰問が主な任務だ。心身共に傷つき、苛酷な毎日を過ご
している子供達は、いつしか笑う事を忘れてしまうという。そこへ、クラウン団の登場!
最初は緊張していた子供達も、徐々に明るい声を上げて笑い出す。そして、あの真っ赤
な鼻を手渡されると、今度は子供達が周りを笑わせようとする。たかが鼻、されど鼻だ。
国境なきクラウン団の活動は、慰問先でクラウン教育にも力を注ぐ。そうして、新たな
仲間ができていく。私は先日、そんなNHKのドキュメントを見て感動した、と友人のクラ
ウンTANTANに話したところ、「未空さん、ケアリング・クラウンっていうのがあるんで
すよ。私はそれになりたいんです。実際、病院や孤児院とかに慰問に行った事もあり
ます」と教えてくれた。
番組の中で、日本人の男性クラウンが、「最も優秀なクラウンとは、いかに素晴らしい
握手ができるかどうかなんですよ」と言っていた。世界には、歳を取って体力が衰え、
ジャグリングやその他のワザができない70代以上の現役クラウンがいっぱいいるそうな。
でも、慰問先で最も愛されるのは、彼らだという。それは、会った瞬間に温かい握手が
できて、それが相手に伝わり、もうそれだけで癒しになってしまうのだ。瞬間高濃度
ヒーリングと呼べるかもしれない(笑)。TANTANが目指すケアリング・クラウンとは、
こういう人達の事だろう。
San Diegoにいた時、ルームメイトのJonに友人を紹介された時の事、彼は「Nice to
meet you」と言いながら、私には全く伝わってこなかった。だって、握手が全然Nice
to meet youじゃないんだもん。ココロここにあらずがバレバレ(笑)。
ある政治家が選挙運動の時、「有権者と握手をすると、その人が自分に投票してくれ
るかどうかわかった」と言ってたっけ。多分、これは真実だと思う。それぐらい握手は
重要なのだ。手と手を握り合うのは、エネルギーの循環でもある。この広い世の中で、
せっかく出会えたのなら、良い人間関係を築きたい。ケアリング・クラウンのように、
世界中ご縁のある人と心温まる握手ができたら、と思う。