とても信心深いキリスト教信者の住む街へ、前代未聞の洪水がやってきた。
水位はどんどん上がっている。その信者は、きっと神様が奇跡を起こして、
助けに来てくれると信じ、街を離れて行く他の住民を尻目に、自分の家で
祈りを続けた。
やがて、水位は次第に高くなり、信者は2階へ避難。2階の窓へ、手漕ぎ
ボートに乗った隣人が現れ「さあ、一緒に逃げよう。足場がなくなる前に!」
と言ったが、「必ず神様は、奇跡を起こして助けてくれる。お前は、1人で
避難するがいい」とお祈りをひたすら続けた。
やがて、水位は更に上がり、信者は屋根の上へ避難。祈り続けていると、
モーターボートに乗った隣人がやって来て「さあ、一緒に逃げよう」と
言ったが、「必ず神様は、奇跡を起こして助けてくれる。お前は1人で
避難するがいい」とお祈りをひたすら続けた。
更に水位は上がり、信者は煙突のてっぺんへ避難。祈っていると、救助隊
のヘリコプターが近くまで来て、「さあ、もう後がないぞ。ヘリコプター
に乗りなさい」。
信者は「必ず神様は、奇跡を起こして助けてくれる。お前は、1人で避難
するがいい」とお祈りをひたすら続けた。やがて、水位は上がり続け、
その信者は甲斐なく溺れて死んでしまう。
天国にて、その信者は神様とご対面。神様に向かって「神様、私は神様の
奇跡を信じて、あんなに信心深く祈っておりましたのに、あなたは何も
してくれなかったではありませんか? 私はこうして死んでしまいました」
すると、神様は「何を言うか。私はボートを2台と、ヘリコプターまでお前
の所に送ったのに、お前は私の助けを拒否したのだ!」