2004 年 12 月 23 日 のアーカイブ

ホーム >  未空ブログ > 2004 > 12月 > 23

AC

2004 年 12 月 23 日

20041223
「アダルトチルドレンの原点」

人の話を聴くというのは、実は大変難しい事です。特に自分が困っている時は、早くその苦境から

逃れたい気持ちが先走って、ついつい目先の解決策に手を出してしまいます。目の前にある困っ

た現実の根本、根っこを見る余裕がないのです。そうすると人は、自分の聞きたい事だけ聞こうと

します。自分にとって都合の良い解釈に飛びついたり、自分が簡単にできそうな事柄だけに、耳を

傾けます。人の話を聴くというのは、今まで自分が経験したこともないようなお話を聴く事なのです。

ですから、全てが驚きと好奇の連続のはずなのですが、同時に不安や心配が募り、心は葛藤状態

になります。この葛藤状態に耐え切れずに無意識のうちに、自分のテリトリーの中に、人の話を無

理やり押し込もうとします。この時、論理の飛躍や投影や抵抗や転移や合理化が起こります。そう

して、安心と引き換えに「傾聴する事」を手放します。たくさんのヒントが詰まったお話を聞き流す

羽目になります。お子さんの事で、相談にお見えになる親御さんに、私が時々言う事です。「お子

さんを何とかしたいとお考えなら、親もリスクを背負わなければなりません。なぜなら、親が背負

うべき荷物を、今までお子さんが背負ってきたからです」というような事を話しますが、大抵わか

ってもらえません(というか、聞き流してしまわれますね)。そして、まずお願いするのは、次回か

らご夫婦で相談に来て頂けますか、という事です。最初から、ご夫婦で相談に来られた方は、当

センターでは皆無です。次回から夫婦で来て下さいというリクエストに、応じて下さる方も極めて

少数です。「うちの主人は、子供とは口も聞かないから、ここに連れて来ても仕方がない」「主人

の言う通りにしていたら、いつまでたっても子供は良くならない」等々。親が背負うべきリスクは、

まずここにある訳です。夫婦が互いに、相手をどれだけ認め合えるのか。仲良くしろなどとは言い

ません。どことどこが好きで、どこからどこまでが気に入らないのか。お互いが相手の事をよく見

ないとわからないですね。相手の事をよく見るという事は、実は心に葛藤が起こりやすいのです。

特に身近な人とは、無意識から軋轢を起こしたくないという気持ちが沸き起こり、知らず知らずの

うちに目をつぶってしまうのです。そして、自分の勝手な物差しで相手を測ろうとします。夫婦が

お互いを理解しようとするリスクを背負い始めた時、その時初めて、子供は解放されるのです。

報われると言ってもいいかもしれません。子供達は、自分達が頑張ってきた事が、無駄ではなか

ったと思うのです。報われないでそのまま成人し、人の親になる事もしばしばあるでしょう。彼らは

達成感のないまま、人生を頑張って生きていくのです。それは、あたかも自転車のペダルを力い

っぱい踏みしめながら、両手でブレーキを力いっぱい握りしめている図に似ています。いつも追

い立てられて、達成感のないまま生きているのです。そして、やがて我が子が生まれた時に、どの

ように接していいのかわからなくなり、結局自分がされたように、我が子にするのです。

/芳野 正彦(特定非営利活動法人・実践心理教育センター理事長)

今日のトナカイ♪Jump いよいよ明日が本番ゆえ、いつもより長く跳ねております。でも、ギャラは同じ~ by 染之助染太郎(笑)

twitterページ
facebookページ
Amebaブログ