早めに郵便局に行こうと思っていたが、大幅に遅れてしまった。でも、今日中に行かなければならない。
その時、なぜか愛車チャーリーには乗らないで行こうと考えた。外はそんなに寒くない。キレイに晴れた
空を眺めながら歩いていると、突然「先輩!」と声をかけられた。私の事を先輩と呼ぶのは、世界中に
ただ1人。中学時代の後輩だ。在学中、なぜか彼女からラブレターをもらい(笑)、それ以来、妹のように
思っている。「ハイ?」と振り向くと、チャリンコの前後に子供を乗せたマスク姿の後輩がいた。「お久しぶりですぅ。先輩、お元
気でしたか」「うわーっ、ビックリ! 何年ぶり~?」「もうどれくらい経つかわからないくらいですよぉ」「この前会った時って、ま
だ・・・結婚前だった?」「うーん、そうだと思います。結婚を決めた時ぐらいかな」「先輩は、まだあのマンションにいるんです
か?」「そうそう。しつこくいるよ(笑)」「子供が生まれてから、頻繁に実家に帰ってるんですけど、全然会いませんでしたよね」
「時間帯も違うからね」。チャリンコの前には4歳の長女、おんぶされてるのは1歳の次女。どっちもパパ似だ。「3人とも風邪を
ひいてて、病院の帰りなんです。行く度に別の菌をもらっちゃんですよね」。後輩はすっかりお母さんだ。妹さんはホテルマンと
結婚し、6月に子供が生まれたそうな。彼の仕事は1日おきに夜勤があるので、夜勤の度に実家に帰って来ているらしい。一気
に孫が3人か。おじーちゃんおばーちゃんは、さぞ大喜びだろう。先輩の私は結婚もせず、未空家には孫が1人もいない。すでに
未空父&母は、ウチの孫はウサギのみゅ~ちゃんだと公言している(笑)。「顔つきが変わんないよね」という私に、「そんな事
ないですよ。もうすっかりおばちゃんで、イヤんなっちゃう」と後輩。そんな事ないってば。一生懸命子育てしてて、本当に偉いよ。
頭が下がる。私のようなワガママで超ズボラーな奴には、とてもムリだもん(泣)。当たり前だが、色んな人生があると思う。同じ
中学を卒業して、彼女は高校卒業後、看護学校で勉強し、晴れて看護士になった。病院に勤務しながら、いくつかの恋愛をして
結婚、出産。今では立派な2児の母だ。あまりに違いすぎて、比べようがない。私は後輩になれないし、後輩は私になれないんだ
から。自分の人生を精一杯生きていくしかないよね。だから、お互い悔いのないように。「えっ、空庵は5年目ですか? スゴいで
すね。私、PC全然ダメで(泣)。空庵を見たいんですけど、子供達が邪魔して、マウスとかいじるんですよ」「今はそれどころじゃ
ないでしょ。落ち着いたらゆっくりね」「いつになるんでしょ。はぁぁぁ~」「大丈夫だよ。空庵は逃げないからさ」。立ち話をしてる
間に、かなり冷え込んできた。風邪をひいてる子供達を早く家に帰さねば。携帯の番号やMailを交換しながら「先輩、私の事、
忘れないで下さいね」「モー忘れるワケないじゃん」「それじゃ、また。今度ゆっくり会いましょうね。絶対ですよ」「うん、また会お
うね!」。いつもこの道は通らないと言う後輩と、いつもチャーリーで出かける私が、まるで仕組まれたかの如く、偶然にジモティ
ーで出会う。いや、これは必然でしょ。チャリンコに乗るママの後ろ姿を見送りながら、ガンバレよー!とつぶやく。数年ぶりの
劇的な再会は、どこか温かかった。