初めから雨だとわかっていれば、傘を持って出かけるのですが、微妙な天気の場合は困りますよね?
雨がいきなり降り出したら、傘を買ってもいいのですが、晴れそうな気もするし。そんなどっち
つかずの天気が、最近多くあります。先日も、朝は晴れていたのですが、急に夕方から雨が降り
始めました。結構たくさん降っていたのですが、後は家に帰るだけという状態です。家には、今ま
で雨が降る度に買っていた傘が数本あります。できれば、買いたくはありません。そんな時にある
お店の軒先に、傘の束を見つけました。雨だから売れると思って、出しているんだろうなぁと思い
ましたが、どうもその傘は古い物のようです。ビニール傘がいっぱい入っていましたが、売り物で
はないようです。よく見てみると、そこには「ご自由にお持ち下さい。次回の来店時に、お返し
頂ければ結構です」と書いてありました。買うほどの天気でもないのですが、濡れたくない。そう
いった状況だったので、迷わず借りました。それからというもの、そのお店で買い物をする回数が
増えたような気がします。私がなぜ、そのお店に行くようになったのかを、ちょっと考えてみたい
と思います。気持ちが良かったから、また行ったという答えでも間違ってはいませんが、今回は
もうちょっと突っ込みたいと思います。この時は、恐らく「返報性の法則」に従って動いてしまっ
たのではないかと思います。「返報性」というのは、他人から何か恩を与えられたら、それが
例え見え透いた行動であっても、受けた恩はできるだけ返そうという本能の事です。「見え透い
たものはわかるよ」と思っていても、この罠にハマっているケースは多いと思います。例えば
「無料で、こちらのムリなお願いを聞いてくれたんだから、このくらいの商品は買ってあげよう
かな」等です。こういう状況を経験した事はありませんか? 私はよくありますよ。同じように、
高額商品を断った後に、低額商品を勧められると、買ってしまう事があります。「ドア・イン・
ザ・フェイス」と言われると、ピンとくる人もいるでしょうね。高いレベルの依頼を断った段階で、
「断る=恩を与えられる」という状態になっています。その後で、低額商品を勧められると、
「さっきは悪い事をしたなぁ。申し訳ないから、コレを買ってあげよう」となるのです。もうちょ
っと具体的にするならば・・・
友人 「100万円貸してよ! 来週、返すからさぁ」
あなた 「そんな大金はないよ。ムリだよ!」
友人 「じゃあ、1万円貸して。来週、返すから」
あなた 「そのくらいだったら、貸してあげるよ」
こんな会話の経験はありませんか? 初めから1万円貸してと言われたら、断っていたと思います。
でも、初めの要求を断っている訳ですから、その後の要求くらいは・・・となる訳です。これらの例
と同じように、傘を借りた私は、その恩を返したいとという状態にあったのだと思います。そして、
その恩は傘を返すだけでは消えずに、商品を購入する事で返したのだと思います。そうしないと
私の心は、恩を与えられたままで、不安定な状況のままです。このように最近は、傘の無料貸し
出しをしているお店が増えたような気がします。ビニール傘の仕入れ自体は、1本数十円のハズ
です。それで集客ができるなら、安いものですね。
/平野 友朗
♪今日の試験 受験生の男性2人の太極拳を眺めながら、思えば初伝→中伝→奥伝→指導員→準師範と、もう5回も試験を受けてたんだよなぁ・・・