舞台は第2次大戦中のハンガリー。ルーマニアがソ連と手を結んだために、
ルーマニア人である主人公は、ドイツ軍に逮捕される。彼はドイツ軍から、
人間性を剥奪されるような屈辱的な扱いを受け、他の逮捕者達と共に監獄へ
向かう列車に乗り込んだ。そこから脱走する際、主人公は車内で知り合った
ユダヤ人のラビ(僧侶)から、布に包んだ一切れのパンを与えられる。ラビは
「パンをすぐに食べようとしてはいけない。いつどこで食物にありつけるか
わからないのだから、耐えられるぎりぎりまで、布に包んだまま持っている
べきだ」と言う。主人公の孤独な逃走が始まった。激しい飢えと乾き。ドイツ
兵の影。死を目前にする事の絶望。彼はポケットに収めたパンを心の支えに、
ついに窮地を脱して、自宅に辿り着いた。ほっとした主人公は、深い感慨を
持って、布包みを開く。そこにはパンではなく、一切れの木片が入っていた・・・
/フランチスク・ムンテヤーヌ「一切れのパン(筑摩書房『世界文学大系94 現代小説集』所収)」
♪今日の一件落着♪ M生命保険会社から解約書が届いた。ホッ。でも共済保険は、まだ証書が届かないんだよなぁ。どこも手続き遅過ぎっ(泣)