夏目漱石が東大で講義をしていた頃、教室でいつも手を懐に入れている学生がおりました。
何と不作法なことと、彼はこれが気になって仕方がなく、たまりかねて注意しました。
「君、講義中に手を懐に入れるのはやめてくれ」。すると、その学生は悲しそうにこう
言いました。「先生、僕は子供の時から、片腕がないんです」。漱石は真っ赤になって、
言葉を失い、しばらく口をもごもごさせていましたが、ハッキリとこう言いました。
「僕は、無い知恵をしぼって、君に講義をしている。だから、君も腕を出したまえ」。
共に欠けだらけであり、不充分である。だから、堂々と自分を恥じないで生きていこう!
そんな暖かさが伝わってくる・・・
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