日本人の技術者がインドの漁師達に、漁業講習会を開いた事があった。
そこでは、未だに1匹ずつ魚を釣るという原始的な漁法をしていた。
技術者は、持ち込んだ最新型の機械を指して、自慢げに言った。
「これを使えば、同じ時間で、今の漁獲量の4倍から5倍もの魚を獲る事
ができるようになるでしょう」。すると、1人のインド人がこう質問した。
「なるほど。確かにたくさん魚が獲れそうだな。でも、だからどうなるって
いうんだい?」「たくさん魚を獲る事ができれば、それだけお金を儲ける
事ができます」。技術者が答えると、今度は別のインド人が尋ねた。
「お金を儲けられたら、一体どうなるんだ?」「それだけ時間もできる
のだから、ゆっくりできるのではないでしょうか?」。技術者は、汗を
拭きながら答える。すると、インド人達は、声を揃えて言った。
「そうなったら、俺達はその時間に何をすればいいんだい?」
「そ、それは・・・」。技術者は、思わず言葉に詰まってしまった。
「もし時間ができれば、魚でも釣っていればいいんじゃないでしょうか?」