私が中学生の頃、学校に行くのがイヤでイヤでたまりませんでした。
今でいう「いじめ」です。母親に「もう学校に行くのはイヤだ」と
訴えたら、「どうして学校へ行くのがイヤなのか?」と尋ねられました。
「いじめられるからだ」と答えたら、「どうしていじめられるんだ?」
と聞かれました。「みんなが『貧乏人』とか、『父無し子』って、
からかうんだ」と言ったら、私の顔を見ながら「お前は金持ちか?
父親はいるのか?」と言われてしまいました。私の父親は、2才の時
に亡くなっており、当時、母親が働いて、5人の子供を育てていたので、
家は非常に貧乏でした。そして、こう続けて言いました。「みんなの
言ってる事は、みんな事実じゃないか? 事実の確認は、笑って済ま
せなさい」と。この言葉は、その後の私の人生に、大きな影響を与え
ています。悩みがあれば、その悩みについて、くよくよ考えるのでは
なく、事実はそのまま受け入れ、その悩みを解消するための方法を、
すぐ考えられるようになったのではないかと思います。