「Going My Way」
ぼくは雑草。
だからみんなみたいに綺麗な花は持っていないし、
誰からも注目もされないんだ。
ぼくはいつも、ず~っと憧れていたんだ。
チューリップさんみたいな、綺麗な花を咲かす事が出来たらなあって。
ヒマワリさんみたいに、みんなから好かれるようなお花になれたらなあって。
だってぼくは背だって低いし、目立つような
自慢出来るようなお花をひとつも咲かす事できないんだもん。
この前だって、みんなしてぼくの事バカにするし、
みんなして、ぼくの事踏んづけて、チューリップさんやヒマワリさんを見てるんだよ。
もうすっごい悔しかったよ。
情けなかったよ。
広い、広い部屋にぼくだけ残して、みんな逃げていってしまって、
鍵をかけられたみたいで、とってもさみしかったんだ。
深く暗い森に迷ってしまって、
決して抜けだせない感じがして、
“もうどうでもいいや”って思ってたんだ。
でもね、そんな時に、子供達が絵を描きに来たんだ。
いっぱい、いっぱい来てた。
もちろんみんな、チューリップさんやヒマワリさんの絵を一生懸命描いてたんだけど、
けど、たった一人だけ、ぼくの事をずっと見てる少年がいたんだ。
ず~っと、ず~っと見てて、やがて、その子ぼくの絵を一生懸命描きはじめたんだ。
何回も何回も、消しゴムで消しては、描いて、
また消しては、また描いてくれてたんだ。
それで、ぼくもついに我慢しきれなくなって、聞いたんだ。
「なんでぼくの絵なんかをそんなに一生懸命描いてくれるの?」
だって、おかしいでしょ?
ぼくの横にはチューリップさんやヒマワリさんがいるのに。
すると、ぼく、びっくりしたんだ。
その子いったい、何て言ったと思う?
「だって君、すごく泣いているんだもん。
ぼく、何で君がそんなに泣いているのかわからないよ。
だって君、すごくキレイだし、とっても優しいし、しかも
すごく強い心を持っているじゃないか」
「ぼくの絵、完成したら君に見せてあげるね。
あんまり上手くないけれど、ぼく頑張って描くからね」
ぼくその時思ったんだ。
ぼくは綺麗な花、咲かす事できないよ。
だって、ぼくは雑草なんだもの。でもぼく全然平気なんだ。
みんながぼくの事どう思っていようと、関係ないよ。
ぼくは他の誰でも無い、ぼくなんだもの。
みんなに踏まれても、バカにされても、ぼく決してそこで終わらないんだ。
だって、諦めたらこの子、ぼくの事、描いてくれなくなっちゃうでしょ?
その日はとってもイイ天気で、お日様がポカポカと
僕達を照らしてくれていました。