クリスマス・イブ
私が毎月楽しみに読んでいる人間学を学ぶ月刊誌「致知」
http://www.chichi.co.jp/ の1月号に、「いのちのまつり
ヌチヌグスージ」 http://www.tsukiten.net/osu.html
という絵本を書いた、草場一壽さんが寄稿されていました。
この本は、沖縄を訪れた男の子が、お墓参りをするおばあさん
から、「坊やに命をくれた人は誰ね~?」と訊ねられ、両親、
その両親、そのまた両親・・・と、無限に続くご先祖さまとの
命の繋がりと尊さに気づくという、とってもステキな絵本です。
草場さんが、沖縄に行った時の事です。
ちょうど先祖供養のお祭りがあり、友人に連れられて行くと、
何とお墓の前で、みんなが飲めや歌えやの大宴会をして
いたので、驚いたそうです。
それで理由を聞いたら、こういう答えが返ってきました。
「ご先祖様は、あなた達の中にいるんです。
生きているあなた達、
未来を背負う子供達が光り輝いているのが、
最高の先祖供養。
だからこうやって、楽しく幸せである事を
ご先祖様に見て頂くんですよ」
私達がこうして生きていられるのは、お父さん、お母さん、
おじいちゃん、おばあちゃん・・・10代前に遡るだけでも
1,024人にものぼる膨大な人が生きて、命を繋いで
くれたからなんですよね。
そして、私達のご先祖様は、
食べ物も少なく、暖房もろくになく、
家だって、隙間風がぴゅーぴゅー吹いていたり、
戦乱があって、明日をも知れない恐怖に怯えたり、
高い年貢を納めるために、命を削って畑を耕したり・・・
様々な苦労をしながらも、生きて、命を遺してくれたのです。
そして、生きるのに精一杯の日常の中でも、
少しでも住み良い社会を作ろうと努力してくれたからこそ、
今、こうして平和な世の中で私達が暮らしていけるのです。
私は思うのですが、
今のようにコンビニで24時間、好きな物を買って食べられる
事だって、ご先祖様からしたら夢のような事なんですよね。
戦争をしていたら、命の心配なく、夜ぐっすり眠れる事だって
泣きたいほど渇望した事でしょう。
自由に恋愛して結婚する事ですら、おばあちゃんやひい
おばあちゃんの時代だって、難しかったのです。
そう考えると、今、私達は、
ご先祖様が夢に描いていた、天国の世界に生きている
と言えるのかもしれません。
ご先祖様が必死で生きて、国を作り、子孫を残してくれた
夢のバトンを受け取っているのです。
この平穏な日々は、膨大なご先祖様の上に築かれた
夢の世界なんですね。
だから、ご先祖様の分も、
私達が感謝しながら、たっぷりとそれを満喫すること。
私達が幸せに暮らしている事が、一番の供養になるのでしょう。
そして、もう一つ、やる事があります。
草場さんは、
「私達は何のために生きているかというと、
命を繋いでいく事に尽きると思います」
と言います。
私達が夢のバトンを受け取ったように、
今生きている人は、未来の人達のために、
住み良い地球や、子孫を遺す事で
バトンを繋げていくのです。
毎日をただ、自分のためだけに使う事もできますが、
自分が受け取っているものを改めて想うと、
「この体を使って、何かを遺す」ために、
私達は、命と体をもらって、地上に生まれて来るよう
選ばれたのかもと思えてきます。
もうすぐクリスマス。
どんなプレゼントをもらってもうれしいですが、
今まで受け取った中で、一番うれしかったプレゼントは、
「この体」かもしれません。
色々な事を感じられる体。
色々な事をやる事ができる体。
この、一人一つずつ授かっているかけがえのない体・・・
聖夜には、この体をくれた、たくさんの
名前も顔も知らない、けれど、確かに存在していた
大切なご先祖様に想いを馳せてみるのも
ステキかもしれませんね!
/恒吉 彩矢子