THREE DAYS TO SEE
「耳の聞こえない人が聞こえる事に感謝し、目の見えない人が世界にある恵み
を悟る」とは、かのヘレン・ケラーの言葉である。
現象面から見ると、彼女は、見えない、聞こえない、話せない
という三重苦の世界にいたのかもしれない。
しかし、誰よりも豊かな心の世界に生きていたと私は思う。
彼女はある時、森を散歩して来た友人に「何を見て来たの?」と尋ねた。
ところが、その友人は「別に何も」という返事をするだけだった。
彼女は、一体そんな事があるのか、と非常に驚いたという。
彼女は「THREE DAYS TO SEE」という一文の中で、もし自分に3日間だけ「見る」
ことが許されたら、何を見たいのか書いている。
それによると、まず初日には、アン・サリバン先生を見る。
それはただ、サリバン先生の顔や姿を見るのではなく、先生の思いやり、
優しさ、忍耐強さといったものを読み取るために、「じっと見る」のだという。
また、赤ん坊、親しい人々を見て、更に森を散歩して、沈む夕日を見て、
祈るという。
2日目の早朝は、雄大な日の出を見て、更に美術館で人間の歴史を眺めて
みたいという。
美術作品を通して、人間の魂を探りたいのだ。
そして夜には、すでに認識の上では「見た」ことのある映画や芝居を、
本当に見てみたいという。
3日目は、再び雄大な日の出を心ゆくまで見る。
そして、ニューヨークという活気ある街と、そこで働く人々に目を向ける。
さらに、橋・ボート・高層ビルを見て、ウインドウ・ショッピングを楽しむ。
最後に、夜には、再び劇場で人生ドラマを楽しみたいという。
ヘレン・ケラーのこの切ない願いを知って、皆さんはどのようにお感じだろうか。
私は、泣けて泣けて仕方がなかった。自分が五感で何も感じていない事を
心から深く反省した。
私達は、3日間といわず、何日間でも、目が見えるのである。
おそらく、見える事が、かえって見る事の素晴らしさを忘れさせているのだろう。
しかし、せっかくの見えるのである! 聞こえるのである! この事に素直に
感謝し、上司や先輩の、部下や後輩の、何よりお客様の顔をもう一度、見てみよう。
声をもう一度、聞いてみよう。もう一度、全ての事を感じてみようではないか。
/柳瀬 勲
♪こーゆーのを見ると、つい顔を入れたくなるのが人情(笑)。外国で見たコトないよね。ってコトは、日本のオリジナル?