ヒキガエルによせるうた
ゲロゲロ鳴くよ小さなヒキガエル
ぬかるみのなかで
おまえはあきれてみているだろうか
争いと浪費と強欲と
死に急ぐ人類を
愛を説いては憎しみを行ない
近くの者も遠くの者も
知らない者を怖れ疑い
口には平和、手には石
いまにも隣人の頭を砕く
黄色いから黒いから赤いから
おまえは笑って見ているだろうか
「武器を捨てよう!」と叫ぶ者を
彼らはこうも言う
「武器を持たず防御の手段も持たないなら
誰もわれらを襲いはしない
黙って放っておいてくれるだろう」
おまえは笑って見ているだろうか
「襲え! 戦え! 力こそ正義だ」と叫ぶ者を
彼らはこうも言う
「核の汚染など知ったことか
この国の強さを見せつけるのだ」
人はああも言いこうも言う
ある者は寝返り、ある者は譲らない
はかない栄華の先は見えない
激しい言葉としわがれ声で
説教しては指図する
いく千の言葉が何になろう
空飛ぶ鳥の足跡のようにむなしい
いく千の言葉が
腹を満たし、体をあたため
病を癒すのだろうか
ダムを築き、権利を与えるのだろうか
もちろん言葉は大切だ
それは誰も否めない
けれど言葉を実行しなければ
何も変わらず、何も起こらず
いま、行動しよう!
憎しみのない世界を望むなら
争いのない世界を望むなら
壁のない世界を望むなら
黒も白も黄色も茶色も
等しく権利を認め合う世界
信頼と平和が永遠に続くこと
心から信じているなら
飢餓も病気も恐怖もいらない
若者がむだに死なない世界
信じているなら行動しよう
この地球を新しい生命が喜びとともに生まれる場にしよう
でも、もし信じていないなら
爆弾が落ちて手遅れになるまで
私はひとり考える
机に座りながら
車を走らせながら
小さなヒキガエル
人類が化物のような爆弾を落としたら
おまえは何事もなかったように
静かにそこにいるだろうか
それともクスクス笑うだろうか
まだ馬鹿をしていると
地球を母と
生きるものすべてを兄弟姉妹と
陸と海と空を友だちと
人類が思いなおしたら
人類は地球を世話する庭師だと思いなおしたら
愛情をもって行動したら
やっとうまくいくかもしれない
小さなヒキガエル
「アーバン・シャーマン(サージ・カヒリ・キング著:VOICE刊)」より
P.S Mさん、素晴らしい本をどうもありがとうございました! 長々とお借りしてすみません(泣)