「無力」と「微力」の2人の天使
その街に2人の天使が舞い降りた。
その街に降りてから天使は、十月十日眠り続けた。
目を覚ますと、天使は自分が天使である事を忘れていた。
天使が舞い降りたその街は、ゴミだらけの街だった。
あまりにものゴミの多さや、人の心に天使は悲しくなった。
一人の天使は、自分を「無力」と呼び始めた。
一人の天使は、自分を「微力」と呼び始めた。
無力の天使の口癖は
「私だけがゴミを拾ってもしょうがない」
微力の天使の口癖は、
「私は私ができる事をやってみるわ」
無力の天使は、ゴミだらけの街を見て絶望を感じて、
街から目をそらして、毎日空を眺めていた。
微力の天使は一度は絶望を感じたものの
一日一個、ゴミを拾い始めた。
一年後、無力の天使は空の素晴らしさをいっぱい知った。
朝日の美しさ、夕日の美しさ、虹がかかった時の素晴らしさ。
一年後、微力の天使は微笑んだ。
街から365個のゴミがなくなった。
それから一年、更に無力の天使は空の素晴らしさをいっぱい知った。
空や雲の変化をおもしろいなと見つめていた。
その頃、微力の天使は毎日「ありがとう」って言いながら、毎日を
過ごしていた。
それは、微力の仲間がいっぱい増えたから。
「一緒に拾うよ。私の力も微力だけど、一緒にゴミを拾うよ」
10人の微力達が一緒に拾った。
一年たったら、3,650個のゴミがなくなった。
それから、一年、無力の天使は空の美しさだけでなく、
街の美しさにも気づき始めた。
街がピカピカになっていた。
なんと、街では1,000人がゴミを拾っていて、
一年間で365,000個のゴミがなくなって
大変の意味が変わっていたのです。
微力の天使は言いました。
「始めはゴミを拾うのは大変でした」
「でも、今は拾うゴミを見つけるのが大変です」
この街はある日から、ゴミを拾う人も増えたけど、
ゴミを捨てない人も増えたのです。
あの人が拾っているゴミは、私が捨てたゴミ。
私はゴミを拾う事はできないけれど、
ゴミを捨てるのをやめよう。
微力の天使は、誰も否定をしませんでした。
微力の天使は、自分ができる事をやっただけなのです。
無力の天使の心に、変化が生まれました。
無力の天使の心から、絶望が消えていったのです。
そして、無力の天使も「ありがとう」を言いました。
ゴミを拾ってくれてありがとう。
お礼に無力の天使は、微力の天使に空の美しさを教えてあげました。
次の日、2人の天使はゴミを拾いました。
正式には、ゴミを探すために歩きました。
しかし、ゴミは見つかりませんでした。
夕方になると、空がピンク色になりました。
素敵な空を見ながら、2人の天使は幸せを感じました。
ピカピカの街と、美しい空を見ながら
2人の天使は2つの事を学びました。
自分を無力という天使は言いました。
「あなたが動いてくれたから、この街は天国になったんだ。
天国は動いたら創れるんだね」
自分を微力という天使も言いました。
「私は下ばかり見ていたから、空の美しさを知らなかった。
でも、あなたが空の美しさを教えてくれたから、気づけた事があるよ。
それはすでに、ここは天国だということ」
今はすでに天国
そして、動けば更に天国が増える。
2人の天使は少しだけ
自分の背中に翼がある事に気づけました。
あなたは天使だよ。
あなたこそ天使だよ。
みんな天使だね。
この言葉を読んでいるあなたも天使。
そう、みんな天使。
——————
この詩を絵本にして、絵本にして子供達に届けようという
プロジェクトが進行しています。
make_the_eden@yahoo.co.jp
上記のMailアドレスまでお問い合わせ下さい。
/山田 一夫(どやえもん:格闘塾塾長)
携帯メールマガジン「格闘塾入魂通信」より抜粋、引用