2つの誠実
「誠実」とは、「ありのまま」という意味である。自分を「ありのまま」以上に
大きく見せない、「ありのまま」以下に卑下しないという意味である。とても
わかりやすい概念だが、これがなかなか難しい。人の威光を自分の事の
ように語るのは不誠実、謝れば済む話なのに言い訳をしているのは、
もちろん不誠実。
誤魔化し笑いは不誠実、知らない素振りも不誠実。私達は「ありのまま」で
ある姿に好感を抱く。そんなに頑張って誇示しなくても、人は十分に「その
まま」で魅力的だという事の証でもある。
不正が明らかになったマンション販売業者の「不誠実」に、我が家の子供達
が「なぜ謝れないのか」と、当たり前のように会話を交わした。一番簡単な
事ができないのが、大人である、自分はどうか。
「誠実」には「もう一つ」ある。自分の価値観に対する誠実さである。価値観
とは、それぞれの価値に対する基準のようなものである。例えば「周囲の人と
認め合い、支え合って生きていきたい」と考えたなら、それは一つの価値観と
いえる。とても素直なその人の考え方であろう。人生は因果応報であるから、
自分の価値観によってアウトプットされたその人の言動は、社会をめぐって
自分自身に運をもたらしてくれる。偶然は、その人から出された影響の連鎖
として、必然に起こるものなのだ。だから、本来は皆、自分の価値観に従った
豊かな偶然に出会いながら、生きていくはずである。
人は幸せになるようにできている。そういう考えを持った人は、「人に認め
られ、人に支えられて生きていける」はずである。ところが、もしその人に
「人を踏み台にして幸せになってやろう」という気持ちが、時々出てくると
したらどうだろう。
自分の価値観を裏切る自分の気持ち、自分の価値観に不誠実な自分が
登場する事になる。もちろん、時々出るこちらの気持ちが誘導する因果
応報も、彼は引き受ける事になる。不幸は自分の中にある。
マンション業者も、過去には「幸せの支え合い」をしたいと思った事も
あったかもしれない。もしかしたら、今でもそう思っているかもしれない。
本当はどうありたいのか、自分のありたい姿に「誠実」である事が大
切である事を、今一度、自分の事として振り返って考えてみたいもの
である。
/山本 正樹(経営コンサルタント、理想経営代表)
「あの有名なマーライオンは母(右側)で、コレは息子のマー坊です」と超日本語の上手なガイドさん、自称“KONISHIKIの弟”が言っていた。巨大なマーライオン父は、海辺の方に単身赴任なんだそうな(笑)