続Closing
5月半ばにカナダへと、鉄砲玉の如く飛び出したデザイナーの友人は、いつ帰国する
かわからない(笑)。だが、陶芸教室の存亡は大問題なので、真意を確かめるべく、
日本にいる先生に電話をかけたそうな。
「現在、全生徒数は160名。結構いるじゃん?と思うけど、決して増えてはいないん
だって。金曜日に担当者が説明しに来たらしいけど、みんな唖然としちゃって、反論
も何もなくしーん、としてたそうよ。前回クラスが減った時は、そのクラスのおば様
達が、ものスゴい勢いで詰め寄ったらしいけどね。クラス削減で落ち着いたと先生達
も思ってたところに、つい先々週になくなるって、事務局から連絡があったんだって。
一度崩れると、こうなるのかしらねぇー、なんて言ってたよ。陶芸教室は改装して、
多目的スペースとして使うらしいよ。窯や轆轤を置いてたら、陶芸としか使用でき
ないけど、フリーにしたら講義とか、クラフト教室とかに使えるって事らしい。
改装費だってバカになんないと思うけどねー。そこで、先生達はどうにかやれない
だろうか、これから考えるそうよ。小さい教室借りて作って、先生達の窯で焼くか、
それには運搬に手間かかるし。んー、どうなるんでしょう? 今の窯を崩して、また
建て直すのはやっぱり大変みたいで、破棄になるみたい。建てるっていってもどこに?
誰の敷地に? 誰の管理に?ってな問題も大きいよね。あぁ、なんて勿体ない!
太極拳もそうだけど、地元で安くできる所を探せばあるもんね。特に、時間のある
リタイヤした人とかだったら、今さらプロを目指す人も少ない訳だしね。陶芸教室
だって、星の数ほどあるわなー。ま、帰ってから状況判断しよう。必要なら、どこか
で窯に巡り合うだろうしね、ってすでにここで、素敵な工房に巡り合ってるけど(笑)」
かーなーり居心地イイんだろうなぁ。ホストファミリーには、「もうカナダに足半分
突っ込んでるんだから、こっちに住んじゃいなさい」とか言われてるらしい。モノ
作りの環境としては申し分ないもんね。太極拳のS先生に「陶芸教室が閉鎖に
なるんだって」と話したら、「えーっ、本当に? 初耳だわ」と驚いていた。
最近のカリキュラムをよく見ると、「会社帰りの~入門」とついた生け花や株式、
雅楽etc.が目につく。だが、入門の後に続く中級はおろか、初級の教室さえ見当た
らない。つまり、誰でもがフラ~ッと立ち寄れる、お気軽な教室を増やしたいのだ。
ターゲットは昼間働いていて、ある程度お金を持っているサラリーマンやOLといった
一見さんのみ。リピーター客は最初から眼中にない。継続は力なりと同時に、マン
ネリ化を避けたいといった思惑がある。これは習い事に限った事ではなく、仕事でも
HPでも何でもそうだろう。今の先方に課された使命は、目新しく切り口を変え、知的
好奇心をかき立てるような斬新なカリキュラムを次々と生み出す事、のみ。
もちろんビジネスなので、そういう経営方針はイマドキ十分に理解できる。私や彼女の
ように、同じ教室に10年通ってること事体、すでに超少数派で天然記念物なのだよ(笑)。
S先生には「太極拳を10年続けられるなんて、マニア以外の何者でもないわよ」と
言われてしまった。ほぇぇぇぇぇぇぇ~。色んな事に挑戦するのも好奇心だが、
1つの事をじっくりと掘り下げていくのも好奇心ではないだろうか? そのどっち
も兼ね備えるような経営はできないものか?・・・と、マニアの私は考えている。