前を向いて歩こう
「やりたい事」が見つからない君へ ―前を向いて歩こう―
「やりたい事がわからない」「どんな職業が自分に向いているのかわからない」「とにかく
ビッグになりたいけど、そのために何をしたらいいのかわからない」。混迷が続く現代を
生きる若者達の口から、未来の自分を不安視する、そんな言葉がそこら中で囁かれている。
私はそんな彼らに投げかける。あきらめて「下」ばかり見ていても、絶望しか見えない。
当てもなく「上」だけを見ていても、届かない空しか見えない。「前」を向いて歩け。
そこに見えるものと精一杯向き合い続ける事が、「やりたい事」に必ず繋がるから、と。
思えば、私自身も若き頃、道に迷って、さ迷い歩いていた一人だった。「クソッタレの
社会に噛みついて生きてやる!」。ただそう自分に言い聞かせながら、「上」を目指した。
しかし、そこに広がっているのは、どんなに手を伸ばしても届かない空だけだった。
そして、届かない空を眺めながら、いつしか絶望して「下」を向いた。何もなかった。
ただ、そこに見えたのは、無力な自分だけだった。
それがあまりにも情けなくて、苦しくて、だから今度は「横」を向いてみた。傍らに見え
る同級生達は、みな輝いて見えた。自分だけが取り残されている、そう感じた私は、再び
「下」を向いた。自暴自棄になった。もうどうにでもなればいい、と思った。でも、その
先には、より辛い現実しか待っていなかった。
16歳の頃、私は何もかもを失ってしまった。進学した高校を退学処分、同時に家からも
絶縁され、児童相談所を経由して里親さんの元に辿り着いた。苦しくて、悲しくて、
あの頃、私はただ、現実と向き合うしかなくなった。初めて「前」を向いた。たくさん
の課題が目の前にあった。
私は必死になって、その一つ一つと向き合った。いや、向き合うしかなかったのだ。しかし、
戦いの繰り返しの日々の中で、気がつけば夢を抱いている自分がいた。そう、目の前の
一つ一つの課題と向き合い、乗り越える度に、それは自らの血となり肉となり、未来に続く
階段になっていたのだ。
私は必死に階段を作り、一歩一歩、昇った。そして、今もその階段の途中で、必死に前を
見て戦っている。今日すら見えないのに、未来など見えるはずもない。「前」を向き、
「今できる事」の精一杯を積み重ねた時、夢は必ず待っていてくれる。
夢は逃げていかない。
自分が夢から逃げていくのだ。
/義家 弘介(ヤンキー先生)