殺本

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「だれが“本”を殺すのか(佐野眞一著:プレジデント社刊)」

ドキっとするタイトルでしょう。でもね、この本の内容はタイトルに負けてはいません。出版界は、大不況

の真っ只中にいます。ご存知でしょうか? 1日に180種類もの本が出版されています。そして・・・ この

本の40%、約半分近くは返品されているのです。つまり、たくさんの本が生まれてはいるけれど、たくさん

の本が死んでいるという現状があるのです。本が売れないから、たくさん作るのか VS 新刊をたくさん作る

から、本が売れないのか。この本は、出版社・取次・書店、出版社の社長・編集者・書店の店員・・・等、

現場の生の声を聞き、「本がなぜ、売れなくなったか?」を徹底的に検証しているものです。そして「何か」

を問いかけるのです。その何かとは? それは、読み手の立場により変化します! 佐野氏は語ります。

本は不要とは言わないが、不急の商品である。すぐには効果は現れない、遅効性のメディアと言い変えて

もいいだろう。にもかかわらず、世の中の方は、恐ろしいほどのスピードで動き、読者もまた、何かに追わ

れるように急き立てられている。本と読者の間で、ますます進行するこの時間の乖離(かいり)現象こそが、

出版不況の最も本質的な意味合いである。この本に、「誰が“本”を殺すのか?」の答えはありません!

本当に良い本には、解答がないと言います。これはどうだろう? あれはどうだろう?と思わせてくれる

「問いのある本」が、実は一番良い本なのです。本は、自分の内面と格闘するためのツール、効果のある

メディア。人と人との関係を学ぶ、基本的な練習道具なのです。ところで、「どこの書店に行っても、同じ

本しかない!」と感じた事はありませんか(泣)? そんな書店を業界では、「金太郎飴書店」と言います!

不利条件下で、独自性を出そうと健闘する書店の方がいます。洪水の如き新刊の中から、本と読者の幸福

な出会いを演出したいと願う出版人もいます。「この本を読んでもらいたい」と訴える人達がいるのです。

だからこそ、タイトルで先入観を持たずに、一読してみませんか? 勇気を出して、店員さんに聞いてみま

せんか? 私たち読者が、本を救うヒーローになる可能性は大いにあるのです。そして、反省する事もたく

さんあるのです。ベストセラーの魔術! 「持って歩くのがカッコイイ」「皆と同じものを持ちたい」等の

“ボンノウ”を見極めませんか? 書店を通じての読者からの注文(客注)のうち、4割が取りに来ないの

だそうです(泣)。身に覚えがある方、いらっしゃるのでは? 「だれが“本”を殺すのか?」は「だれが

“本”を生かすのか?」でもあると思います。

/石野 章子

♪今日のBirthday 空庵のWeb Masterコト八五郎さん、お誕生日おめでとうございます。今年もアナタに良いコトが雪崩のように流れ込みますように・・・

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