仕事Ⅱ

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近年、正確にいうと、1970年以降、先進諸国で「やりたい事」や「人生の目的」がハッキリ

しなければ、充実した幸福な人生を送ることができない。少なくとも、幸福な人生の門口に

立つ事はできない。自分のやりたい事、人生の目的に向かって邁進しなければ、事を成す人

にはなれない。少なくとも、一人前の仕事をやり遂げる事はできない。こういう考えが多数派

を占めるようになってきた。1970年代から80年代にかけて、「生きがい論」という形で語られ

たのは「仕事」。とりわけ、労働の中にやりたい事や人生の目的を見い出す事はできない。

労働の外に、アフター・ファイブに、やりたい事や人生の目的を見出そうという生き方だった。

2000年で区切れば、およそ50才以上の世代が、この「生きがい論」の影響下で、人生の旅立ち

を始めた人達である。これに対して、1990年代には、やりたい事や人生の目的が、仕事の中

に求められ、「どんな仕事をするのか?」と強く結びつく形で語られるようになった。自分の

やりたい事は、やりたい仕事に。人生の目的は、仕事で達成すべき目標に集約される傾向を

強めてきた。だから、自分のしたい仕事を、自己実現を達成できる仕事を見い出すための猶予

期間として、大量に大学に行くようになったばかりでなく、定職に就かないフリー・アルバイター

が定職に就いても、それをより望ましい職への転出のワンステップとみなす、渡り鳥のような

大群が登場したのである。いずれの場合も、「自分の人生コースを自分で決める。それが幸福

の第一条件である」と見なすようになった。

/鷲田 小彌太「人生にとって“仕事”とは何か?(PHP文庫)」より

♪今日の未空父戦略♪ 前から話さなければならなかった私のスったモンだは、ちょっと早い“父の日”プレゼントで大成功(笑)!

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