ちょっとイイ話⑮

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これは僕の友達、ポールの話である。ある年のクリスマスイブのこと、
ポールは兄さんから、クリスマスに新車をプレゼントしてもらった。

ポールがオフィスから出て来ると、街でよく見かける少年が、その
ピカピカの新車の周りを歩き回っていた。よほどその車が気に入っ
たらしく、ポールに話しかけてきた。「この車、おじさんのかい?」

「あぁ、兄貴からのクリスマスプレゼントさ」と、うなずきながらポール
は答えた。少年はそれを聞いて、ひどく驚いた様子だった。「えっ?
おじさんの兄さんがくれたって? おじさんは全然お金を払わなくて
良かったの? うわあっ、すごいな! ぼく・・・」と、少年は何かを
言いかけたが、そのまま口をつぐんでしまった。

少年は「僕にも、こんな兄さんがいたらなぁ」と言いたかったのだろう、
とポールは思った。ところが、少年の口から出た言葉に、ポールは
耳を疑った。「僕ね、おじさんの兄さんみたいになりたいなって思っ
たんだ」。ポールは、まじまじと少年の顔を見つめていたが、自分
でも思いがけない言葉が、口をついて出ていた。

「この車に乗ってみるかい?」「本当? ウン!」。車を走らせて間も
なく、少年の目はキラキラと輝き始めた。「おじさん、僕の家の前まで
乗せてくれる?」ポールは思わずニヤッとした。きっとこんな大きな
車で帰ってくるところを、近所の人達に見せて、自慢したいんだな
と思った。しかし、その憶測はまたもや外れた。

「あそこに階段が付いている家が見えるだろう? そこでちょっと待っ
ててくれる?」。少年は車を降り、駆け足で家に入っていった。しば
らくすると家の中から、ゆっくりとした足音が聞こえてきた。少年が
身体の不自由な弟を背負って出て来たのだった。

弟を階段の一番下に座らせ、車がよく見えるように、弟の身体を支えた。
「ほら、バディー、見てごらん。さっき言った通り、スゴい車だろ? そこ
にいるおじさんの兄さんが、クリスマスプレゼントにくれたんだって。

それも、まるっきりタダでくれたんだって! お前も、待ってなよ。兄ちゃ
んが、いつかきっとあんな車を、お前に買ってやるからね。そしたら、
いつも話してるクリスマスのきれいな飾りを、その車に乗って見に行こ
うね」。それを聞いたポールは、何も言わずに車を降りると、少年の弟
を抱き上げ、新車の助手席に座らせた。

目をキラキラ輝かせた少年も、その横に乗り込むと、3人はドライブに
出かけた。本当に素晴らしいクリスマスのドライブだった。このクリス
マスの日、ポールは聖書の「みことば」をしみじみ感じたのである・・・

「受けるよりは、与える方が幸いである」

/「心のチキンスープ(ダイヤモンド社刊)」より

♪今日のココロ踊るコト♪ 未空父サンタが、空庵神社に「2003年カレンダー付き招き猫」を奉納してくれた。超カワイイ!

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