横尾忠則「神羅万象」in 木場・東京現代美術館
木場の東京都現代美術館に、横尾忠則の「森羅万象」を見て来た。この展覧会は、1964年から今日
までの彼の活動の全貌を、375点の作品によって紹介する、今までで最大規模の回顧展だそうだ。
最近、展覧会は見に行っても、デパートの中や小規模なスペースであったりと、正統派の美術館
ではなかった。東京都現代美術館の存在は知っていたものの、まだ行った事がなく、近くの木場公園
も同時に散策してみたかった。雲ってはいるものの、雨は上がり、澄んだ空気と涼しい風が気持ち
イイ。秋だというのに、公園内には色々な花が咲いていた。よく再生紙に使われるケナフの花って、
こんなにキレイなの? カレープラントって、ホントにカレーの匂いがするんだよね(笑)。スパニ
ッシュセージの茎や花は、まるで紫と白で作られたビロードのようだetc. 自然って不思議だね!
横尾の作品は、ポスター等で見ているものの、作品全体を通して見た事はなかった。見に来てる
人達は若い人が多く、外人の姿も目に付く。ヘレン・ケラーと同じ6/27に生まれ、父親の弟夫婦に
できた彼は、生まれてすぐ横尾家の兄夫婦に、養子として引き取られた。両親には「橋の下で拾っ
て来た」と聞かされていたと言う。出生の記憶が彼の愛とエロスというテーマに繁栄される。とにかく
想像以上に、見応えがあって刺激的! 正直、期待していなかっただけに、改めて彼は才能豊か
な芸術家なんだと思った。靴を脱いで入る部屋があり、そこには数千枚以上の「滝」の写真が、
壁と天井を覆い尽くしていた。す、スゴい! さらにダイナミックな滝の動きを「タクナメーション」
と呼ばれる技術によって表現した作品も、多数制作展示されていた。こんなArt初めてだな(泣)。
「テクナメーション」とは、テクニックとアニメーションを合わせた造語で、2つの偏光板の重なり
具合によって、動いてるように見せる技術の事。とにかくおもしろい! 2000年9月に始められた
「Y字路―暗夜行路」をテーマとした作品群。何だか二者択一を迫られているようで、どこか不思議
な気分に陥ってくる。彼は「暗夜行路」展で、自らに課した禁欲的な枠組みを離れて、Y字路という
容器に様々なモチーフや主題を盛り込むようになったそうだ。Y字路は今や、森羅万象を取り込み、
語る事のできるメディアだ。なぜなら、Y字路のYは横尾のYであり、つまりY字路こそ横尾自身に
他ならない、とパンフレットは結んでいる。文学では、三島由紀夫や澁澤龍彦、演劇では、唐十郎
や寺山修司、俳優の高倉健etc. 多彩な人物との交流から多種多様なポスターを生み出し、今も尚
現役の画家として、変化し続ける横尾忠則。とどまるところを知らないエネルギッシュなアーティ
ストだ! 彼の「森羅万象」に目と心を奪われ、久々に芸術にドップリ浸る事ができた。Yに多謝!
♪今日のいいコト♪ 日本橋・老舗の洋食屋「たいめいけん」のタンポポオムライス(伊丹十三風)は絶品だなぁ。