質問
「あなただったら、どうされますか?」。最後になって、突然クライアント役の人にそう聞かれた。
いくらロールプレイとはいえ、クライアントの悩みは、現実にその人に起こってる切実な問題だ。
こういう場合、「あなたは今、とっても不安なんですよね。誰かに答えてほしいんですよね」と
切り替えせば、模範的なカウンセラーだったんだろう。でも、私にはできなかった。なぜか?
このクライアントが、そんな答えを望んでいるとは、到底思えなかったからだ。先生は「クライ
アントの心の背景に気を配って下さい」と言う。確かに、その通りだと思う。先生は正しい。
でも、私にはできなかった。少し間を置きながらも、ゆっくりと「もし、私だったら、こんな風
に相手に伝えると思います。そうしないと、自分がこの先、苦しくなるから」と意見を伝えた。
クライアントの悩みは、夫の問題だったため、より切実だった。この先の2人の、そして家族の
生活を考えたら、やはり良い人間関係を築いていきたいと願うのが当然だろう。だから、私は
嘘がつけなかった。これはもはや、カウンセラーとしてやってはいけない事だったんだろうか?
もちろん、カウンセリングに正解はないし、クライアントがむやみに傷ついたり、苦しんだり
しなければ、何でもありの世界だ。何度かセミナーを受けていれば、模範解答はおおよそ想像
がつく。でも、一番大切なのはクライアントの気持ちだ。彼女は、私の意見を聞いて、「ありが
とうございました。そうですよね」と言ってくれた。これが、絶対正しかったとは言えないが、
間違いでもないような気がする。授業が終わった後、駅まで一緒に帰り、しばらく話し込んだ。
十人十色のクライアントに対して、様々なカウンセリング技法を身につけたいという点で、
意見が一致した。「でもカウンセリングって、まどろっこしいですよね」と彼女は言う。私の
師匠と同じセリフだ(笑)。やはりご縁があるのかな。そんな事を考えながら、家路に向かった。
♪今日のいいコト♪ 超久々に湯麺を食べたら、口の中をヤケドした。でも、とりあえず満足だな。