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お釈迦様の一行が、長い道のりを歩いて、夕方に町に着くと、弟子達は
我れ先にと宿の部屋を占拠して、遅れて到着した舎利弗は、寝る所がなかった。
仕方なく、戸外の樹の下で眠った。翌朝、お釈迦様が舎利弗を見つけて、
「お前はなぜ、そこにいるのか?」と問い、舎利弗はありのままを説明した。
その日、説法の場で、お釈迦様は弟子達に「座る場所や食事等、教団の中で、
私達はどのような人を先に立てるべきだろうか?」と尋ねた。弟子達は口々に、
在家の時に身分の高かった人、説法が上手な人、神通力の優れた人、戒律をよく
守る人等と主張した。そんな彼らに、お釈迦様は、このようなたとえ話をされた。
昔、ある大きな樹の下に、鳥と猿と象がいた。彼らは互いに敬う心を持たず、
争いが絶えなかったが、ある時にこれを反省して、一番年上の者を尊敬しながら、
仲良くしようと話し合った。象は「私が小さい頃、この樹をまたいだら、てっぺんが
お腹に当たった」と言った。猿は「私が小さい頃、座ってこの樹のてっぺんにある
芽を食べた」と言った。鳥は「私が小さい頃、この側に大きな樹があった。その実を
食べて糞をしたところ、そこから芽が出て、今のこの樹になった」と言った。
彼らは、鳥を最年長と見なして尊敬し、鳥の言葉を立てて和合して、暮らすようになった。