私が今世で、悔やんでも悔やんでも悔やみ切れない事・中篇
11/9付「私が今世で、悔やんでも悔やんでも悔やみ切れない事・前篇」
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実は、彼の会社が主催した講演会に行った時の事、近距離でスーツ姿の彼
とニアミスを起こしていた。話しかけようか迷ったが、他の人と談笑していた
ので、今回はまいいっかと帰って来てしまったのだ。思えばあれが、動く姿
の彼を見た最初で最後だった。
後にお別れ会が都内のホテルで開かれ、彼の事を大好きな人達が、たくさん
集まっていた。正面のステージには、彼のパーカッションと大きな写真が飾ら
れていたので、私はそれをじっと見つめながら、心の中で話しかけていた。
あまりに遅すぎた自己紹介に始まり、講演会の時に話しかけなかった事の
後悔や、渡したかった彼の大好物のこしあんパンなど、もうとめどなく涙が
あふれ、自分の愚かさが本当に本当に許せなかった。
今、生きてるって、決して当たり前の事じゃないんだ。また会えるからいいや
なんて、傲慢以外の何ものでもないんだ。何でそんな大切な事に、今の今
まで気がつかなかったんだろう。どうして有限の命を軽く考えてしまったん
だろう。言葉にならない様々な感情に押し潰されそうになりながら、その場
で思いっきり泣いて、誰かにひたすら懺悔したかった。
私は日頃、「人間はいつ死ぬかわからない」などとエラソーに言っておきな
がら、どこかで死というものは、年長者から順番に、という思い込みにどっ
ぷり浸っていた。同い年の彼には、また会えるからいいや、といった根拠
のない安心感があった。
どうしてあの講演会の時、「初めまして、こんにちは」と勇気を出して、話し
かけなかったのだろう? 何をカッコつけてたんだろう? どうしてサッサ
と帰って来てしまったのだろう? 何で? どうして? 考えれば考える
ほど、悔やんでも悔やみ切れない。