私が今世で、悔やんでも悔やんでも悔やみ切れない事・前篇
この時期になると毎年、思い出す人がいる。彼と知り合ったのは、
今から11年ぐらい前。私が2000年7月4日に空庵を立ち上げ、
すぐにメールマガジン「空庵だより」を発行した頃、彼もメルマガ
を創刊。スタートラインも年齢も、ほぼ同じ。
私が彼宛てに送ったMailが、メルマガに掲載された事が何度かあり、
その時はまるで、DJにハガキを読まれたリスナーのように、とても
うれしかったのを覚えている。
Net上の頼もしい同志であり、私がスリ・ランカに行った時は、お土産
を送ったり、暑中見舞いや年賀状のやり取りなどをずっと続けていた
ので、一度も面識はなかったものの、私にはどこか見えない絆で、
結ばれている感が強かった、勝手に。
また、彼も音楽が大好きで、本業の他にライフワークでパーカッション
を叩き、バンドを組んで、CDまで出しているという点でも、他の人には
ない親近感があったと思う。
そして2年前、秋の夜長に突然、彼の訃報が届いたのも、メルマガ
だった。えっ、亡くなったって誰が? 嘘でしょ、何かの間違いでしょ?
だって、彼は私と同い年ぐらいだよ。えっ、何で? 彼に何があったの?
どうしたの? あまりの突然の出来事に、私はすっかり動揺し、パニ
ックに陥っていた。
届いたメルマガを何度も読み返すが、字面を追うだけで、内容が
頭に入ってこない。真実を受け入れたくない、何より信じたくない。
「今年こそ是非、お会いしましょう!」と毎年、お約束のように書い
ていた年賀状が心底、悔やまれる。訃報の夜は、あまりのショック
に寝つけず、心臓が高鳴り、涙が止まらなかった。