ボランティアの現場で発揮される経営者能力
私も何度かボランティアには参加させてもらった事がありますが、
今回、被災した地域に実際に足を運ぶのは初めてでした。
行く前には、
「自分は役に立てるのか?」
「被災した人を前に、何て言葉をかければいいのか?」
「野次馬だと思われないか?」
そんな思いでいっぱいでしたが、
思いのほかスムーズに現場に入る事ができて、
微力ながらも、何とかお役に立てる事ができました。
でも、同時に、
「ボランティアには経営者能力が必要」というのも実感しました。
まず、「情報収集能力」
ボランティアは現地に行くまでに、
色々な情報を収集しなくてはいけません。
リアルタイムな現地情報、持ち物の情報、交通情報・・・
その情報が「しっかりしたもの」を掴まないと、
現地について本当に困った事が続出しますし、
他のボランティアよりも「良い情報」を掴んでおけば、
それだけ、現地で地元の人よりも役に立つ事ができます。
実際、今回は事前に
「手押し車が不足気味」という情報を掴み、
現地に直接持ち込む事ができて、非常に瓦礫撤去の際に役に立ちました。
また、数々の情報を収集しておいたおかげで、
“想定外”のアクシデントにも対応する事ができて、
落ち着いたボランティア活動をする事ができました。
次に必要なのが「行動力」です。
ご存知の通り、現地に着いたらボランティアには、
色々な指示が出されます。
しかし、ただ“指示待ち”に従っているだけでは、
現地で本当に役立つ仕事は回ってきません。
その指示をしっかりと受け止めて、自分で考えて、
積極的にアグレッシブに動いていけば、
住民の皆さんから「おっ、なかなかやるじゃん」みたいな、
ちょっとうれしい言葉をもらえたりします。
つまり、普通のお仕事と一緒で、
与えられた仕事だけをするのではなく、
「+α」の仕事をやる気持ちでボランティアをしていかないと、
やっぱり“相手を喜ばせる”という事はできないんですね。
更に現場意では「コミュニケーション能力」も必要です。
スタッフ同士のコミュニケーション、
地元の人とのコミュニケーション、
作業現場でのコミュニケーション、
指示をうまく出したり、共同作業を潤滑にしたりするには、
どうしても、コミュニケーション能力が必要だし、
瞬時にリーダーになり、統率を取る能力も求められます。
また、新しい現場では、誰がリーダーなのかを瞬時に判断して、
その指示に従い、リーダーが作業をしやすいフォローをしていく、
そのような“後方支援”に回る柔軟性が現場では求められます。
他にも、
作業の先を見越した「計画性」
ボランティアの作業を手際良く進めるための「効率化」
地道な作業に耐えられる「忍耐力」
危機的状況を打開するための「突破力」
現場での臨機応変な対応ができる「アイデア力」や「創造力」
実は、ボランティアの現場には、
「経営」に関する大切な事が、ギッシリと詰まっているんです。
私は今回、被災地のある旅館さんの
廃材整理という仕事を任されましたが、
その一見、単純な作業の中にも、
頭をフル回転させないと対応できない事が、
ものすごいたくさんありました。
経営者としての「決断力」や「行動力」に加えて、
慎重な判断と、地元の人やスタッフの皆さんとうまくやっていく、
コミュニケーション能力も当然必要だし、
何より現場を盛り上げるための
「モチベーションアップ」の能力がなければ、
なかなか勤まらないものだと実感しました。
もちろん、これは「経営者的」な視点でお話させてもらっただけで、
そういう能力を持ち合わせていない人でも、
現場では十分、お役に立つ事はできると思います。
ただ、そういう能力があった方が、
ボランティア先の皆さんに、たくさん喜んでもらえる訳だし、
この考え方って、ある意味、
「お客様に喜んでもらう」
という、サービスの基本が詰まった、
とっても大事なことだと思うんですね。
よく経営者の方からのコンサルティングの相談で、
「社員に経営者感覚を身につけてほしい」という要望があるんですが、
僕はこういうボランティア活動は、
すごい社員に経営者感覚を身につかせるいい機会になると思います。
何より、現場を取り仕切る「リーダー力」が身につくので、
是非、経営幹部の皆さんは、参加された方がいいとは思います。
(漫然と過ごしては意味がありませんが・・・)
持ち回りでもいいので、スタッフに奉仕企画を立案させて、
今回の震災のボランティア活動だけではなく、
地元のゴミ清掃や社会福祉などに貢献できる作業をやってもらえれば、
仕事では得られない
「もっと大切なこと」が、たくさん見えてくると思いますよ。
編集後記:
という訳で。
実際に被災地に行った私の率直な感想としましては、
是非、このメルマガを読んでいる皆さんにも、
積極的に、ボランティアに行ってもらえればと思った次第です。
そういう思いがあったからこそ
誰でも気軽に被災地に行ってもらいたいために、
このような「個人でも行けるボランティアマニュアル」を作成しました。
★個人でも行けるボランティアマニュアル
http://kenrei1.blog50.fc2.com/
被災地の体験談レポートも大切だとは思いますが、
もっと大切なのは、
ボランティアに行く人を「増やすこと」だと私は思いました。
そのためには、「道」を作る事が先決だと思い、
このようなマニュアルを作らせてもいました。
実際、ゴールデンウィーク明けから、
被災地の各地で、ボランティア不足が発生しています。
また、震災から2ヶ月が過ぎると、
少しずつ、皆さんの記憶から、震災の記憶が薄らいでいきます。
でも、そういう時期だからこそ、我々企業で働く商売人が、
ボランティアに出向くべきではないかと思っております。
誤解を恐れずに言わせて頂ければ、
ボランティアほど、社員教育に適した場はないと思います。
人に対しての無償の奉仕
考えて動く事の大切さ
コミュニケーション力のアップ
現場での「想定外」への対応
そして、相手に喜んでもらった時のうれしさ
おそらく、2~3年かけて学ぶ仕事の大切さが、
たった数日で身について帰って来ると思います。
社員教育のコンサルタントに数百万円の教育費用を払うよりも、
ずっと低価格で、効果的で、
尚且つ、役に立つ体験ができると思います。
このメルマガを読んでいる経営者の皆さん、
是非、有志の社員を集めて、被災地に足を運んでみて下さい。
また、サラリーマンのみなさんも、
週末を使って、被災地にボランティアに行ってみて下さい。
何度も言いますが、誰でも気軽にボランティア活動はできます。
そして、これは私の経営コンサルタントとしての持論ですが、
ボランティアの最終的な目的は、
もっと別のところにあると思っています。
ボランティアが被災地に赴き、
そこで、復興のために身を粉にして働けば、
その土地に対して、かけがえのない「愛」が生まれて、
やがてボランティアは、「リピート客」に変わり、
長期に渡り、被災地を支援していける、
重要な「観光客」になっていくはずです。
長期に渡っての被災地を支援するためには、
長く、その土地を愛し続けてくれる人を増やす事であり、
そのきっかけを作るのは、
「ボランティア」という仕組みを、活用するしかないと思います。
ゴールデンウィーク明けで、
そんなに仕事も乗る気になっていない人も、
夏のボーナス商戦までに、社員の意識を変えたい人も、
組織の団結力を、もっと高めたい人も、
新入社員に、もう少し頑張ってもらいたい人も、
理由はどうであれ、ボランティアに行く事は、
必ず自分の商売でプラスに働きます!
思っているほど、東北は遠くありません!
さぁ、スケジュール帳を広げて、
次の週末にでも、ボランティアに行ってみませんか?
★個人でも行けるボランティアマニュアル
http://kenrei1.blog50.fc2.com/
追伸:
気仙沼市の大島にある旅館「明美荘」は、
今現在、島民の仮設住宅ができるまでの二次避難所になっており、
「冷凍ストッカー」と「自動洗濯機」がなくて、
困っているそうです。
明美荘の電話番号は、私の「ボランティアマニュアル」に記載していますので、
もし、支援ができる企業さんがありましたら、
一報入れて頂ければ幸いです。
島の物流は正常稼動しているそうなので、遠方からの支援も可能です。
/竹内 謙礼(コンサルタント)
メールマガジン「竹内謙礼の『ボカン』と売れるネット通信講座」より抜粋、引用
http://www.e-iroha.com
参議院会館の食堂には、「被災地復興応援」定食?というものがあり、売切れ御免の人気メニューだった。カウンターで食べる寿司コーナーもあって、食堂は充実している。これも全て税金なのだ。センセイ方、しっかり食べて、日本の為にめいっぱい働いてくれーっ!