手話
私のクライアントには、聴力障害者の方もいらっしゃるので、会話は筆談
が原則となる。こんな時、手話ができたらなぁと思う事もしばしば。
未空母は20年以上、手話をやっており、以前はボランティアにも関わって
いたので、未空家にも聴力障害者の方が遊びに来た事があった。ピンポ
ーンとチャイムが鳴って、人の気配はするものの、声は一切聞こえない。
えっ、誰か来たンじゃないの?と部屋のドアを開けると、未空母を含め、
全員がとても表情豊かに、手話での会話を楽しんでいた。今がチャンス!
こんな時のために、自己紹介だけはと猛特訓していたのだよ。
「私の名前は、未空と申します。どうぞよろしくお願いします」
たかがこれだけ覚えるのに、どれくらいかかっただろう(泣)。私のとって
つけた必死のパフォーマンスは、何とか成功し、皆が一斉にホメてくれた。
外国語と同じで、手話も通じるとメチャクチャうれしいものだ。
私は未空母から手話や茶道(といっても簡単な飲み方だけだが)、浴衣の
着付け等を習った事があるが、元々超ブッキーで覚えも悪いため、未空母
にはほとほと呆れられた。特に手話は難しくて、習ったそばから、どんどん
忘れていく。覚えているのは、唯一「ありがとう」だけ(笑)。
島袋勉さんの話を読んで、思い出したというのは、NHK手話ニュースのキャ
スターであり、ステージパフォーマーでもある丸山浩路さんだ。「愛してる
と言ってくれ」のドラマで、トヨエツに手話を指導した事でも有名になった
人である。
丸山さんの講演が終わった後、あるお母さんが娘さんを連れて、控え室
を訪ねて来た。このお母さんは、片方の耳が聞こえない。丸山さんなら、
私の気持ちがわかってくれるだろうと思って、こう言った。
「私、こちらの耳が聞こえないんです」
すると、丸山さんは意外にも・・・