ロンゴ様
「多分、ヒーラーとしては、再起不能でしょうね」
えっ、あのI先生が!? 一瞬、耳を疑った。この話は、先月のレクチャー
ですでに告知していたらしく、周囲の人に動揺は見られなかった。おそ
らく前回は、大騒ぎだったに違いない。私は一人、ただただ驚くばかり。
I先生は現在入院中で、時々意識が戻るらしいが、脳の病気説や胃腸・
消化器も悪いとかで、くわしい事はわからない。以前、長期でお休み
した事はあったが、すでに治療院も閉じたというので、やはりヒーラー
としては、再起不能なのだろう。なぜI先生が? どうして?
あまりにショックな出来事で、とても悲しくなってしまった。私はI先生
ではなく、親しみをこめて密かに名前にちゃんづけして呼んでいた。
最後にお会いしたのは、昨年の10月中旬で、背痛にのた打ち回り、
とにかく治療院に急いだのを覚えている。その帰りに、マザー・
テレサの映画を見たのだ。I先生とは不思議な話をした。
I先生 「あなたについてる神様を教えてあげたっけ?」
未空 「いいえ、知らないです」
I先生 「じゃ、今調べてあげるからね。ちょっと待っててね」
未空 「ありがとうございます。お願いします!」
I先生 「えーっと・・・ あなたは、ポリネシア神話に出てくるロンゴ様がついてるね」
未空 「ロンゴですか? 知らないんですけど、南国は昔から大好きなんです」
I先生 「“ロンゴ様”って言わなきゃダメだよ。あなたの顔は南国系だもんね(笑)」
未空 「よく沖縄の人に間違えられるんですよ」
I先生 「ポリネシアに行って来たらいいじゃない?」
未空 「実は、ずーっと行きたいと思ってたんです」
I先生 「じゃ、今度、ポリネシアの地図を持ってらっしゃい」
未空 「地図ですか?」
I先生 「ロンゴ様がどこにいるか教えてあげるから」
未空 「確かにたくさん島がありますもんね」
I先生 「他の神様に祈っても、助けてくれないんだよ」
未空 「私はロンゴ様に祈ると、助けてくれるんですね?」
I先生 「みんな、そういう事を知らないからさ。だから苦しむんだよ」
未空 「そうですか。今度、ポリネシアの神話を読んでみます」
I先生 「そうそう、読んでごらん」
思えばこれが、I先生との最後の会話になってしまった(号泣)
♪今年の江ノ島神社詣では、大船からモノレールに乗った。もう何年も通っているが、大船から乗ったのは、今回が初めてだ。約15分くらいで江ノ島に着くのだが、モノレールは何気に激しく揺れるんだよね。海の地平線に、一直線の光の筋が走っている。こんな風景も初めてだった。やはり海辺はイイなぁとつくづく思う。