Right Wing
ピンときたものは、やっぱ素直に見に行こう♪ってなワケで、7月は魔境を幻視する
「イ・クトゥット・ブディアナ」展を見に行き、迫力満点のバリ絵画に圧倒された東京
ステーションギャラリー。今回は「浮世絵 アヴァンギャルドと現代」展だ。コレが想像
以上に良かった! フッフッフッ。私のピンに間違いはなかったのだ(笑)。入場料
800円は安い、と私は思う。あらゆる画派の方法を取り入れ、多彩な情報を取り入れた
“アヴァンギャルドな”特質を持った浮世絵と、現代アートに視点を据えた展覧会。
歌麿、北斎、広重、国芳などの浮世絵に見られる、現代に通じる斬新な構図、遊び絵
や奇怪画、彫りと摺りの技術の粋によって可能になった斬新な図など、選りすぐりを
紹介だ。巨大都市江戸を舞台に、華々しく展開した浮世絵。大衆の要望、欲望を積極
的に取り入れ、自由な発想の元に次々と制作された。人気の高い浮世絵は競って求め
られ、江戸土産としても、日本国内各地の人々の目を楽しませた事だろう。本展では
まず、“狩野派”のようなアカデミックな画派のしばりから開放され、多くの画法や
情報を自由に取り入れた“現代にも通じる先進性”のある図柄を紹介する。例えば、
北斎の“冨獄三十六景”シリーズや広重の“江戸百景”シリーズには、大胆なクローズ
アップや洗練された色彩をもつ図版が多く、現在でも斬新だ。また、多彩な浮世絵表現
の裏にある、木版画の彫りと摺りの技術の向上によって生まれた春信や、歌麿作品など
に見られる表現に注目。その他、エロティシズムを意識した作品、めがね絵の流行や
遠近法などへの興味によって登場した洋風版画、漫画のふきだし表現のような夢を
題材にした作品群など、浮世絵師達の発想豊かな表現力を再発見することだろう。
次に、遊びや笑い、ユーモアを誘う分野、怪奇話を題材にした“想像力を駆使した自由
闊達な表現”も、浮世絵のアヴァンギャルドと捉え、絵師達の楽しい世界を紹介する。
幕府の取り締まりを受けながら、したたかに発表された風刺画、知恵をこらした文字絵
や仕掛け絵、歌舞伎の怪談の流行を感じさせる怪奇画など、浮世絵の“面白大百科”
ともいえる様相だ。また、日本人の美意識の特徴として、わび、さびといった美意識が
挙げられる。しかし、その対極には、ドロドロした情念の感覚や、煌びやかな世界も存在
している。中でも明治は、異文化が正面からぶつかり合い、情念の感覚は一層きわ立つ
ことになった。今日残されている明治の石版画、特に子供の表現に、この感覚を見ること
ができる。ホ~ント昔の日本人の遊び心には、舌を巻いちゃうね。どれも200年近く前に
描かれたモノなんだけど、全然古くないんだな、コレが! とにかく発想が豊かなんだよ。
日本のマンガ文化の源流は、ここにあるといっても過言じゃないね。歌川芳年が描いた
「百器夜行(慶応元年<1865年>)」は、ちと違う(笑)。「百鬼夜行」は恐ろしい妖怪が、
夜に跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するという、浮世絵以前から繰り返し描かれてきた
画題で、京都・大徳寺真珠庵にある絵巻が、その代表的な作例らしい(←私はまだ見た
コトないんだけどね)。しかし、この「百器夜行」は、鬼を「器」として、三味線、琵琶、
達磨、鈴、銅鑼など、身近な器物の霊達を主に、顔に用いて擬人化して描いてるんだ。
でね、長い年月を経た道具などが、妖怪となったものを「付喪神(つくもがみ)」というん
だそうな。へぇぇぇ~、知らなんだぁ。イマジネーション豊かだよ。今回、最もニッポン的
美意識だと思ったのは、「鞘絵(鞘写し)」だね。本物が展示されてて、初めて見たんだ
けど、鞘絵とは、刀の漆塗りの鞘を決まった位置に置くことにより、漆塗りの鞘の曲面に、
別の絵が浮かび上がる絵のこと。寛政頃、武士の間で流行したと言われている。歪んで
描かれた奇妙な花魁の姿が、鞘に写すと細身の花魁の姿が映し出されるんだ。オイオイ、
風流でないかい。よく考えつくよなぁ。泣けてくるねぇ、お前さん(笑)。ますます右翼
チック炸裂で、思わずカタログ(2,000円)を買っちまった未空。いっぱいココロに栄養
もらったよ♪ ちなみに、「浮世絵 アヴァンギャルドと現代」展は、東京駅のステーション
ギャラリーで、11/9(日)までやってま~す。まだ間に合うぞぉ。Don’t miss it!
♪今日の陰陽師Ⅱ 野村萬斎は巫女にはなれんな。ピーターの方がずっとキレイだぞ。大根役者は多いし、もっと彼の動きの美しさを見たかったよ。